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平成10年度の税制改正が成立しました。大半が4月1日以降開始事業年度からの適用となっています。 今回は再度、減価償却の改正を中心に取り上げてみました。

(T)減価償却制度の見直し

@建物の償却方法が平成10年4月1日以後に新規取得 (中古を問わない)する資産より定額法のみとなります。

※・従来の資産については引き続いて定率法を選択できます。

・増築は新規取得とみなされ定額法が強制されます。

・機能強化等、改良は新規取得とはみなされません。従って、定率法を選択できます。
・建物付属設備や構築物は今回の改正には含まれません。従って、定率法を続けることが出来ます。

尚、同時並行的に耐用年数が概ね10〜20%程度短縮されることになりました。

(例)・鉄筋コンクリート造/事務所用

改正前…65年 改正後…50年

・償却額の比較

A取得時に一時損金として処理できる少額の減価償却資産の取得価額が20万円未満から10万円未満に引き下げられ、10万円以上20万円未満の資産は事業年度ごとに3年で償却できることとされました。平成10年4月1日以後に開始する事業年度から適用となります。

尚、当事務所としては長期前払費用として一旦資産計上し、毎年3分の1ずつ損金処理する予定にしております。

B機械装置、器具備品、車輌等の初年度2分の1の簡便償却制度が廃止されました。

平成10年4月1日以後に開始する事業年度から適用となります。よって、期末にかけ込み取得で、節税を!とお考えの方は、これが出来ませんのでご注意下さい。

C営業権の償却方法が任意償却から5年間均等償却に改められ、平成10年4月1日以後に開始する事業年度から適用となります。

(U)中小企業における交際費の損金不算入割合の引き上げ

・中小企業(資本又は出資の金額5,000万円以下)の交際費について、定額控除額の損金不算入割合が20%(従前10%)に引き上げられました。

平成10年4月1日以後に開始する事業年度から適用となります。

(V)役員の親族への過大給与及び不正支出の役員報酬の損金不算入

・役員の親族である使用人への過大な給付については、損金の額に算入しないこととされました。また、不正行為によって支出された役員報酬は同じく損金の額に算入しないこととされました。

平成10年4月1日以後に開始する事業年度から適用
となります。

(W)有価証券の評価

・法人が有する上場有価証券の評価方法に関して、低価法を選択する場合の「切放し低価法」が廃止された為、自動的に「洗替え方式」となります。

平成10年 4月1日以後に開始
する事業年度から適用されます。これにより有価証券評価方法を原価法へ変更の場合は適用事業年度開始の日の前日までに届出が必要となります。

 

所長のつぶやき

今年の年賀状であえて『きびしい』という言葉は禁句にしたいと言ってきましたが、思わず口に出してしまう程、 中小企業を取り巻く経済環境は今、底知れぬ不況の真っ只中の状態です。 これはもう誰がなんと云おうと橋本内閣による判断ミスとタイミングのずれに基づく 政策不況そのものでしょう。鼻柱の人一倍強い橋本首相も、さすがになりふり構ってはおられず、 良く言えば矢継ぎ早に、悪く言えば泥縄式に大型の景気対策を打ち出してきております。一日も早くこれらの政策が実体経済にカツを入れ、 経営者並びに消費者心理を前向きに好転させてもらいたいものです。楽観的な人は秋口からの景気回復を期待を込めて主張しつつありますが、 まだまだ“笛吹けど踊らず”といったところでしょうか。 とはいえ、今こそ経営者の根性が問われている時期でありますから、 自社の経営資源(人、物、金、情報)のベストミックスと強味(弱点の克服を含めて)をいかに効率よく引き出すかにかかっております。 事務所としても戦略的パートナーとして全力で応援してまいりたく、 緊密な相談体制を整えなければと一大決心をしているところです。

(所長 橋本)   

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