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(T)資本的支出と修繕費

一つの修理、改良のために要した金額のうち資本的支出として資産計上しなければならない部分と、修繕費として損金処理できる部分と判断に迷うことが応々にしてありますが、今回はその処理判断の一助になればと思い特集しました。

 

(1)「資本的支出」

固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち当該固定資産の価値を高め、又はその耐久性を増すこととなると認められる部分に対応する金額が「資本的支出」となります。

[例示]

(@)建物に避難階段を取り付ける等物理的に付加した部分に要した金額

(A)用途変更の為の模様替え等改造又は改造に直接要した費用の額…(例)倉庫を店舗へ改装

(B)機械の部分品を特に品質又は性能の高いものに取り替えた場合、その取り替えに要した費用のう

ち通常の取り替えの場合にその取り替えに要すると認められる費用の額を超える部分の金額


(2)「修繕費に含まれる費用」

固定資産の修理、改良等の為に支出した金額のうち、通常の維持管理の費用、又はき損した固定

資産の原状回復費用が「修繕費」となります。

[例示]

(@)機械装置の移設費用(集中生産を行う為の機械装置の移設費を除く)

(A)地盤沈下した土地を沈下前の状態に回復する為に行う地盛りに要した費用の額(但し、土地の取得後直ちに地盛りを行った場合等、一部例外を除く)

(B)建物の移えい又は解体移築をした場合(移えい又は解体移築を予定して取得した建物については除く)におけるその移えい又は解体移築費用の額。但し解体移築については、旧資材の70%以上がその性質上再使用であって、旧資材をそのまま利用して従前の建物と同一の規模及び構造の建物を再建築するものに限ります。

 

(U)中小企業投資促進税制の創設 《平成10年度税制改正の目玉商品です!》

 

中小企業者等が取得等をする一定の機械装置、器具備品、車輌等について一定の要件 の下に、取得価額の30%特別償却又は取得価額7%の特別税額控除(当期税額の20%を限度とし、控除限度超過額は1年間繰越)の選択適用が認められます。但し、資本金3,000万円以下の中小法人等に限られます。(資本金3,000万円超の法人は30%の特別償却のみとなります。)

これは、平成10年6月1日から11年5月31日までの間に取得等をして事業用とした資産について適用されます。

 

所長のつぶやき

…暑中お見舞い申し上げます…

先月、税務署の定期異動に伴なう中村支部の歓迎集会で、以下の様な支部長挨拶をさせて頂きました。

「………我が国では、昭和22年に納税制度が戦前の賦課課税から申告納税制度に改められました。たまたま私自身が昭和22年生まれですので、その後の申告納税制度の定着発展と自分自身の税理士としての歩みが常にオーバーラップすることになり、感慨深いものがあります。

つい最近行われた参議院選挙の結果、政界のみならず各方面に少なからぬ衝撃が走っておりますが、間違いなくある種の緊張感を感じさせてもくれました。そこで思い出すのは、元国税庁長官の福田幸弘氏が税制改革を提言した著書の中で、『税務行政の現場において、税務当局と税理士は一言で云えば「緊張した信頼関係」を構築することが大切である』と述べております。

これを私なりに解釈しますと、緊張関係のない信頼関係は馴れ合いに陥りやすく、信頼関係のない緊張は不毛の対立を招きかねず、いずれにしても国民納税者にとって望ましいものではありません。このことを肝に銘じて、それぞれの立場から申告納税制度の理念に沿って、適正公平な課税の実現に努めていきたいと思います。………」

さて、梅雨明け宣言もようやく出て、本格的な夏の到来ですが、休む時はしっかり休んで英気を養い、体力を蓄え、この季節を楽しみたいものです。

( 所長 橋本 )

 

 

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