最近新聞紙上で「税効果会計」という言葉をよく見かけます。

今回はその税効果会計について簡単に取り上げてみました。


◎企業会計の利益と課税対象となる利益(所得)の相違

本来、決算書の税引前当期利益(以下会計上の利益という)に税率を乗じて負担すべき税額を計算し、これを税引前当期利益から差し引いて当期利益が計算されます。

ところが現実に納付する税金の計算は、企業会計とは別の法人税法に従って、会計上の利益に調整計算を行うことにより税務上の利益を算定し、これに税率を乗じて負担すべき税額を計算します。 この結果、調整金額が大きいと税引後の最終利益がゼロになってしまうこともまれではありません。

これは企業会計上の利益は配当可能利益の算定ということを主たる目的としており、一方税務上の利益は課税を目的としているわけであり、もともと目的が異なるからといえます。

従来の決算書と税効果会計を適用した決算書との違いは次に示す通りです。


◎税効果会計適用前の損益計算書(従来)
<経常利益>
1,000

特別損失>

有税不良債権償却損 △ 500

<税引前当期利益> 500

法人税等 △ 460

差引当期利益 40

(配当可能利益が著しく少ない結果となってしまう)

◎申告調整項目の内容 (上記の理由)

法人税申告書(別表四)

当期利益 40

(加算)

法人税等 460 (永久差異)

有税償却不良債権 500 (一時差異) ※

課税所得 1,000

法人税等 460

(法人税等の実効税率46%とする)

◎税効果会計適用後の損益計算書

<経常利益> 1,000

特別損失>

有税不良債権償却損 △ 500

<税引前当期利益> 500 <ここまでは従来と変わらない>

法人税等 △ 460

法人税等調整額 () 230(※500×46%)

差引当期利益 270

(ある程度の配当可能利益を確保)

仕訳 :(繰延税金資産) 230 (法人税等調整額) 230

従って、税効果会計による決算報告書は、一時差異にかかる税負担に関する前払又は未払の状況を開示するとともに配当可能利益を確保することをねらいとしているといえます。 但し、御注意いただきたいのはどちらの方法によっても、申告所得や納付する税金はまったく変わるものではありません。

一時差異の例示 永久差異の例示

減価償却超過額 交際費・寄付金、役員賞与

有税償却不良債権 損金不算入法人税 等

貸倒引当金繰入超過額

固定資産圧縮積立金 等

 

紙面の都合上概略的なことしか紹介できませんでしたが、詳しくは当事務所までお問い合わせ下さい。

所長のつぶやき

東海地方も梅雨に入りました。畑の横に自生している紫陽花も、自分の出番だと生き生きと色づきだしております。 亡父の100ヶ日法要もごく近親者にてすませ、一連の行事もとりあえず全て終了することができました。 正直なところほっとしています。

マスコミでは来年4月施行(予定)の介護保険制度をめぐり報道が活発ですが、

老人(特に寝たきり)を抱える家庭では経済的にもさりながら有形無形の負担や親子・夫婦間をめぐる精神的葛藤の軽減には程遠いものです。

そろそろ我が家も覚悟を決めなくてはと思っていた矢先に父の死を迎え、親不孝者とは思いつつ、世間的には非難されることもなくなり、子供孝行(?!)だった父と御先祖様にひたすら感謝するばかりです。

ところで、6月5日は52歳の誕生日でした。 体力の衰えは如何ともしがたいのですが、口の方はいたって元気です。 無口ならぬ六口を発揮し、耳もダンボにして業務や税理士会務をこなしていけば50代も満更捨てたものではないという心境になりつつある今日この頃です。(橋本)

 

戻る