Topics〜 現物給付と税務〜 給食、慰安旅行など通常支出する給与以外の現物給付等のなかには、給与になるものと給与にならないものがあり、従業員の課税及び支払者の源泉徴収義務にも関係してきます。これらの留意点について順に解説していきたいと思います。
(1)食事の支給 @食事代の支給
ア.食事代の半分以上を従業員が負担していること。 イ.会社負担が月額3,500円以下であること。 A残業等における食事代
(2)社員割引販売
ア.販売価格が、他に販売する価格の概ね70%以上で、全社員に対する販売価格が一律であること。 イ.販売価格が、会社の仕入価格又は製造原価以上であること。 ウ.販売の数量が、一般消費者の家事使用のために通常消費すると認められる程度であること。
(3)使用者負担のレクリエーション旅行の費用
ア.旅行の期間が4泊5日以内であること。 (海外旅行の場合には、外国での滞在日数が4泊5日以内) イ.旅行に参加した人数が全体の人数の半分以上であること。 (工場や支店ごとに行う旅行は、それぞれの職場ごとの人数の半分以上が参加すること。) ただし、いずれの要件を満たしていても、次のようなものは単純な損金(福利厚生費)処理はできません。 a.役員又は特定の使用人だけで行う旅行⇒給与、役員賞与 b.金銭との選択が可能な旅行⇒給与、役員賞与 c.実質的に私的旅行(有志旅行の補助)と認められる場合⇒給与、役員賞与 d.下請け業者や得意先の使用人等が参加した場合のその部分⇒交際費 以上の他に形式要件を満たしていても、豪華な慰安旅行を事実上規制するため金額的な歯止めを設ける動きがありますので目安として1人当たり10万円を念頭に充実した慰安旅行を計画して下さい。
(4)永年勤続表彰
ア.記念品、旅行観劇等にかかる支出金が勤続年数に対して、社会通念上相当と認められるもの。 イ.概ね10年以上の社員を対象とし、複数回の被表彰者については5年以上の間隔を空けてあること。 但し、この取扱いは、記念品等の経済的利益に限られ、金銭による支給の場合は課税対象となります。したがって旅行ギフト券については、換金性もあり、金銭支給となるためその旅行が実際に行われたことを証明する必要があります。個別通達によって次のように条件が定められています。 ア.旅行の実施は、旅行券の支給後1年以内に行うこと。 イ.旅行の範囲は支給した旅行券から相当なもの。 ウ.旅行実施後、報告書及び資料を提出すること。 エ.旅行が1年以内に行われなかった場合には、その旅行券を返還すること。 参考として所得税法個別通達(昭60.2.21直法6-4)において社会通念上相当と認められる範囲として具体的な金額が示されています。 継続勤続年数満25年→10万円相当の旅行券 継続勤続年数満35年→20万円相当の旅行券 所長のつぶやき…… いよいよ4月、春本番のスタートです。3月に入ってからも冷えこんだ日が続いておりましたが、桜前線の北上に伴いぐっと春めき日本の四季のうち最も心はずむ今日この頃です。ピカピカの1年生やフレッシュマンを受け入れ、いづこの組織も新しい体制づくりに余念がありません。 早いもので私も平成元年4月に独立開業して以来丸12年が経過致しました。振りかえれば、大過も中過も小過もいっぱいありました(時効がまだのものもありますので詳細は明らかにできませんが)。ただし、うれしいことにそれに倍する喜び、感激、充実感を味わうことができました。 まずは、手前味噌になりますが、その前提となる健康に感謝です。10年程前、体重が短時日のうちに急激に減少し、まわりの方にもひょっとしたらガンではと御心配をいただきました。結局は何ということもなく元の状態に戻りました(おかげ(?)でというかその直後にしっかりと生命保険に加入させられましたが)。 その後はほとんど風邪をひくこともなく、時々アレルギー性鼻炎に悩まされておりますが元気そのもので、いつもニコニコと笑顔を絶やさず今日まで推移してきております。 ところで、先月号で御紹介した『チーズはどこへ消えた?』の小冊子に対して我が意を得たようなコメントが最近の新聞にでておりましたので改めて紹介しておきます。 まず、本の内容は『チーズを求め迷路を探して走り回り、山のようなチーズに出会い幸福感にひたる。それも束の間、ある日チーズが忽然と消える。すぐ迷路に戻り次のチーズを探すネズミ。一方小人はなすすべもなくただただその不条理に怒る…』という物語です。今日、グローバル化、規制緩和等経済の大変革が進行しております。いままで各々の産業分野で生活の糧を得てきた職が前触れもなく消えてしまうかもしれません。かつて産業革命が進行中の19世紀初めの英国で、機械の出現で職を奪われた職人たちが機械を打ち壊すラッダイトの反乱事件は歴史の教科書で御存知の方も多いかと思います。これと同じようなことが目の前で起きているということです。このチーズの寓話は、悲劇を避けるには変化に適応できるよう自らが変わるしかないと示唆しております。私自身も初心を思い出し、他方税理士を取り巻く環境変化に柔軟に対応できるよう頭も身体も鍛え直さなくてはと殊勝にも考えております。 ( 所 長 橋 本 ) |