トピックス  現物給付と税務パートV

このシリーズも今回で3回目となります。今回は保険料について源泉所得税だけでなく関連税目として、法人税、相続税についても説明を加えました。

会社が、役員および使用人を被保険者として短期掛捨ての定期保険や養老保険に加入した場合で、保険金の受取人を会社もしくは被保険者の遺族とする場合の課税関係について説明します。

T.定期保険

(1)会社が受取人の場合
使用者が掛捨ての定期保険に加入した場合で、被保険者を役員および使用人とし、保険金の受取人を法人とする場合は、その使用人または役員の受ける経済的利益についてはないものとされます。
法人税→期間の経過に応じて、損金処理が可能です。
(2)役員または使用人の遺族が受取人の場合
@すべての役員および使用人を対象としている場合
源泉所得税→経済的利益はないものとされます。
法人税→期間の経過に応じて、損金処理が可能です。

A特定の者のみを対象としている場合

源泉所得税→その者に対する給与として処理されます。
法人税→その者に対する給与として処理されます。
消費税→定期保険に係わる支払いを、保険料として処理していれば非課税となり使用人の給与とされる場合には、不課税扱いとなります。

U.養老保険

(1)会社が受取人の場合

死亡保険金および生存保険金の受取人が会社であれば、当該役員または使用人に対する経済的利益はないものとされます。

法人税→払込み保険料については、資産計上(保険事故の発生または保険契約の解除もしくは失効により当該保険契約が終了するまで)を払込の都度行います。
また、死亡保険金および生存保険金を受け取ったときは、資産計上した部分を取り崩し、差額を益金算入もしくは損金算入します。
相続税→受取人が会社であるため、相続税の課税関係は生じません。

(2)被保険者またはその遺族が受取人の場合

死亡保険金および生存保険金の受取人が被保険者またはその遺族である場合、その支払った保険料の額に相当する金額は、当該役員または使用人に対する給与等とされます。

法人税→支払った保険料については、給与とみなして処理されます。
相続税→遺族が、死亡保険金を受け取った場合は、みなし相続財産となります。

(3)死亡保険金の受取人が被保険者の遺族で、生存保険金の受取人が会社の場合

@すべての役員および使用人を対象としている場合

源泉所得税→経済的利益はないものとされます。
法人税→支払った保険料のうち2分の1を資産計上し、残額は期間の経過に応じて損金の額に算入します。
相続税→遺族が、死亡保険金を受け取った場合は、みなし相続財産となります。

A特定の者のみを対象としている場合

源泉所得税→支払った保険料の額のうち、その2分の1に相当する金額は、これらの者の給与とされます。
法人税→支払った保険料のうち2分の1を資産計上し、残額は当該役員等に対する給与として処理されます。
相続税→遺族が、死亡保険金を受け取った場合は、みなし相続財産となります。

 

所長のつぶやき……

平成元年4月に独立開業して以来、早いもので12年が経過致しました。

堀田正之税理士事務所での勤務期間も含めますとゆうに四半世紀を超えることになりました。そもそも、税理士を志望したきっかけは高邁な理想や、身近に先達がいたわけでもなく、学生時代の不勉強のせいでエリート(?)サラリーマン生活をあきらめ、広義の法律職として選択し実務をまったく知らないまま受験勉強に勤しんだ末の賜物(まさに結果的にですが)に他なりません。

試験合格後、幸運にも名古屋税理士会の重鎮であった堀田税理士事務所に採用され、堀田先生の指導のもとで税理士実務の貴重なノウハウを吸収することができました。 堀田先生は、常々、税務調査の現場等で議論になった場合でも、安直にハウツーものの実務解説書に解答を頼るのではなく、法律の立法趣旨や国民・納税者の素直な実感や常識(=良識)を何よりも大切にし、そこに判断根拠を求める姿勢で一貫しておられました。

私自身が所長となって職員を指導したり若手会員の研修会に参加するとき、この信念に脱帽せずにはいられません。

また、学生時代に勉強もせず、サークル(全国に組織されていたユネスコ研究会に所属)の部室に入り浸っていたことの、ムダ・遠まわりも 社会人になってからその思わぬ効能がいささかの自信につながっているのも不思議といえます。

というのも、全国組織のサークルでずっと役員を勤め各地を飛びまわっていたおかげ(?)で、会議の進め方や組織運営に堪能になり各種研究会での講師を気軽に引受けることもでき、また税理士会の会務運営にも大いに役立っているからです。

家族の評価では無口でとおっていますが、外部の印象では逆の六口といわれており、多重(良くいえば多面的)人格なのかもしれないと自分なりに分析しているところです。

いづれに致しましても、平成9年8月より、毎月欠かさず事務所通信を発行し、“所長のつぶやき”と題して、折にふれ近況や寸評を書きしるしてきました。今月でもって50号を迎えることができますのも顧問先各位からの御厚情と御叱正の賜物と改めて感謝申し上げる次第です。

すでに御案内させていただきましたように、来たる7月 7日(土)AM11時より栄マルベリーホテル(中区錦三丁目・名古屋銀行本店北入る)にて橋本事務所としては初めての『顧問先企業交流の集い』が行われます。

御出席いただける企業様は当日よろしくお願い致します。尚、今回は都合により御欠席になられる企業様は次に企画する折には御気軽に参加していただければ幸いです。

( 所 長 橋 本 )

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