トピックス 現物給付と税務 パートX

このシリーズも今回で5回目となります。今回もQ&A形式で解説してみたいと思います。

T.慶弔金の支給(その一)

当社は慶弔規定に基づく結婚、出産などの慶弔金を現金で支給していますが、給与として課税されますでしょうか。
社内の慶弔規定に基づく結婚、出産祝金等への課税は、社会通念上相当と認められるものについては、課税されません。

U.慶弔金の支給(その二)

当社には慶弔規定がないため、その都度社長の判断により金額を決めて慶弔金を支給しています。ただし、社長の個人的感情で支給していたり、支給しなかったりしている訳ではありませんが、使用人の勤務成績等個別事情について社長の判断が加味されます。
慶弔規定に基づかない慶弔金であっても、社長判断で支給される慶弔金が、使用人およびその親族の慶弔・禍福に関して、通常認められる程度の金額であれば問1と同様に非課税と考えて差しつかえありません。

V.災害見舞金の支給

当社の事業所のある地域で、大きな地震があり、使用人の家屋が被害をうけました。そこで、当社は被害の程度に応じて、災害見舞金を支給しましたが、この見舞金に関しての課税関係を教えて下さい。
会社が支給する災害見舞金については、社会通念上相当と認められるものは、給与として課税されません。
解説 使用者から役員または使用人に対し雇用契約等に基づいて支給される結婚、出産等の祝金品は、給与等とされます。
ただし、その金額が支給を受ける者の地位等に照らし、社会通念上相当と認められるものについては、課税しなくても差しつかえありません。(所基通28−5)
また、所得税基本通達9−23では、葬祭料、香典または災害等の見舞金で、その金額が支給を受ける者の地位等に照らし、社会通念上相当と認められるものについては、課税しないものとしています。
ただし、その金額について、具体的にどの程度が妥当なのかということの判断は、個々の事例に応じて慎重に行うべきかと考えます。



所長のつぶやき ……

残暑お見舞い申し上げます。

日中はまだまだ30度を超えております。そろそろ夏バテが出てきている諸兄もいるやもしれません。お気をつけいただきたいものです。とはいえ、やはり季節の移り変わりは着実であり、朝晩の涼風が頬に心地よく、庭先の鈴虫らの声にも勢いと張りが感じられる今日この頃です。

地球上では、季節が一年を通じ1つであったり、せいぜい2つ(夏と冬)の地域の方が多数派です。日本のように春夏秋冬と4つの季節が明瞭にある方が、むしろめずらしいくらいです。そのうえ、一口に秋といっても、更に初秋、中秋、晩秋と 3段階に細分化した気候の微妙な変化を味わうことができ、日本ならではの季節感といえましょう。

ところで、皆さんはこの夏をいかが過ごされましたか。小生は相変わらず仕事と会務の両天秤を何とかバランスさせ、結果として健康を害することもなく凌ぐことができました。

また、名城大学での夏季集中講義も無事終了することができそうです。尚、日税連会務にかこつけて(?)東京等への出張の折、新旧の名所や文化施設を探訪し、くつろいだ時間をちゃっかりと確保することもできました。

先日も、財団法人日本税務研究センターでの資産税勉強会に参加する機会があり、相続税事案に関し、いくつかの重要なヒントを学ぶことができました。

本年は、顧問先の周辺にて数件の相続事案があり、主に土地の評価をめぐって知恵を絞っているところです。地価が下落したとはいえ、評価額の方は高止まりしている地点や土地区画整理事業地内で、期待先行で評価額だけが上昇傾向にある地域もあり、相続人にとっては痛し痒しの状態であります。 唯一の救いはいずれの案件も、相続人間のトラブルもなく、 争族(..)になっていない点です。相続開始から10ケ月以内に申告並びに納付を済ませる必要上、農地については納税猶予の申請手続や、金銭納付が困難な状況の案件では、物納作戦を展開すべく準備に余念がありません。

あれやこれやで、久方ぶりに資産税の復習やら応用編にいい汗をかいております。

(所長 橋本)

 戻る