トピックス 相続税について
所得税確定申告もあと半月を残すだけとなりました。 皆さんは、もう確定申告は済みましたでしょうか。 さて今月は、相続税についてふれたいと思います。
 
T 相続で財産を取得しましたが、相続税の申告の必要があるのでしょうか
 

相続税は、被相続人(死亡した人)から相続または、遺贈により財産を取得した人の課税価格の合計額が遺産に係る基礎控除額を超える場合に、その財産の取得者に対して課税されます。 したがって、課税価格の合計額が遺産に係る基礎控除額以下である場合には、被相続人から相続や遺贈により財産を取得したどの人も相続税の申告をする必要がありません。  (ただし、小規模宅地等の特例を受けて初めて基礎控除額以下になる場合には申告の必要があります。)

遺産に係る基礎控除額とは
5000万円+(1000万円×法定相続人の数)
 
U 相続税の申告書は、いつまでに、どこに提出するのでしょうか
 

申告書の提出期限

相続税の申告書の提出期限は、相続開始の日(死亡の日)の翌日から10ヶ月目の日です。 例えば、平成14年3月15日が相続開始の日ならば平成15年1月15日となります。

申告書の提出先

相続税の申告書の提出先は、被相続人の死亡の時における住所地の所轄税務署です。

相続人が複数います。申告書の提出はどの様にしたらいいでしょうか。

通常は、被相続人から相続または遺贈により財産を取得した人が共同で作成し提出しますが、分割協議が不調な場合、別々に提出して差し支えありません。
 
V 相続税が軽減されるものには、どの様なものがあるのでしょうか
 
1. 小規模宅地等の評価減
被相続人等の事業または居住の用に供されていた宅地等のうち一定面積(400u、240u、200u)までの部分については、一定割合(80%、80%、50%)評価を減額するものです。

2.配偶者の税額軽減

被相続人の配偶者が取得した財産うち、課税価格の合計額の2分の1または、1億6000万円までについては、相続税がかからないように軽減されます。

3.未成年者控除

法定相続人が未成年の場合に下記の金額までの税額が控除されます。
20歳に達するまでの年数(1年未満切り上げ) × 6万円

4.障害者控除

法定相続人が障害者の場合に下記の金額までの税額が控除されます。
70歳に達するまでの年数(1年未満切り上げ) × 6万円
(注) 特別障害者の場合は年12万円となります

5.相似相続控除

被相続人が今回の相続開始前10年以内に開始した前の相続について、相続税を課税されている場合に一定計算額の相続税の控除を行うものです。

6.生命保険金の非課税枠

各相続人が取得した生命保険金の合計額うち下記の金額までを非課税とするものです。
500万円×法定相続人の数

7.退職手当金の非課税枠

各相続人が取得した退職手当金の合計額うち下記の金額までを非課税とするものです。
500万円×法定相続人の数

(注意) 税額が軽減されるものについて、基本的には申告書に特例を適用する旨及び計算明細記載が無いと受けられませんのでご注意ください。

以上簡単ですが相続税について取り上げてみました。



所長のつぶやき……

3月がスタートしました。税理士にとって3月は第2の師走といえます。所得税の確定申告も折り返し点を過ぎ佳境に入っております。そのうえ、3月15日を過ぎると日税連、名古屋会その他団体の会議が連日予定され、後半ものんびりということにはなりません。お声がかかるうちが華と妙に納得しております。

ところで、先月に引き続いて税理士会での新しい取り組みについて報告をしてみたいと思います。

近年、国際的潮流として規制緩和が進み、自由競争、自己責任の原則の大波が税理士を始めとする士(サムライ)業界にも押し寄せております。国家による独占資格付与に安穏としていられる時代は徐々に過去のものになりつつあります。従って私達税理士も従来の税理士業務に加えて、専門職能を活かした公益的業務にも通暁していく必要性が高まってきております。

身近なところでは、成年後見制度への参画でしょうか。従来の禁治産、準禁治産制度を根本的に改め、新しいコンセプト(1.ノーマライゼーション<共生>、2.自己決定権の尊重、3.身上保護の重視)でもって2000年4月からスタートしたのが成年後見制度です。

私が所属している日税連公益的業務対策特別委員会で所掌している課題でもあります。

法律用語では「心神喪失の常況にある者」「心神耗弱者」と難解な表現を使いますが、わかりやすくいえば、判断能力が衰えたり、痴呆になった高齢者の日常の暮らしや財産管理をサポートしていく制度です。

一説には2025年には痴呆老人が520万人に達するといわれており、私の年令からいけば、援助する側からいつ援助される側にまわるかわからない状況が遠くない将来に迫っておりますので、一層関心が増してきております。地域の社会福祉協議会、家庭裁判所、他の民間専門家とも十分に連携するとともに、介護保険、ケアプラン等々身上監護に必要な様々なノウハウも修得する必要があります。

まだまだ名古屋会においても勉強会や研修を企画する段階であり家庭裁判所に相当数の適格者名簿を提出するには時間がかかりますが、今後重要な付随業務の一画を占めていくと思われます。

(所長 橋本)


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