橋本博孔税務会計事務所

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平成14年5月1日


トピックス 〜平成14年度税制改正〜

今年度の税制改正は、連結納税制度の導入・老人マル優制度の廃止・株式譲渡益申告不要制度・中小企業税制・事業承継税制の整備など、社会経済情勢の変化や厳しい財政状況を踏まえつつ、景気低迷からの脱却を目指した内容になっています。

前回、連結納税制度の基本的な仕組みとりあげましたので今回は、金融・証券税制の改正について解説したいと思います。

  • 老人等の少額貯蓄非課税制度(いわゆる老人マル優制度)を障害者等に対する少額貯蓄非課税制度へと改組

郵便貯金、預金、公債それぞれ元本350万円までの利子等を非課税とする制度の対象から65歳以上の老人が除外され、障害者等に対する少額貯蓄非課税制度に改められました。

※ 障害者等とは、身体障害者手帳の交付を受けている者、遺族年金の受給者である被保険者の妻、寡婦年金の受給者です。

(注) 但し、この改正は、平成18年1月1日から適用されます。なお、老人マル優の適用対象とされていた預貯金等につき平成18年1月1日以降に支払いを受けるべき利子等の計算期間の初日から平成17年12月31日までの期間に対応する部分の利子等は、従来とおり非課税となります。

また、平成15年1月1日以降65歳となる方(障害者等は除く)は、非課税制度の対象となりません。

 

  • 定時株主総会の決議による自己株式の自由な買受(平成13年10月1日以降適用・有限会社持分も準用)

平成13年の商法改正により、従来、商法が原則的に禁止していた自己株式の取得規制について、会社は、定時株主総会決議要件と配当可能利益要件を満たすことによって自由に買い受けることができるようになりました。

また、会社は、取得した自己株式について、自由に保有等ができるようになりました。

  • 株式譲渡益課税制度の概要

昨年秋の租税特別措置法の改正により、株式等の譲渡にかかる課税制度が次のように改正されました。

1.     申告分離課税への一本化

2.     上場株式等にかかる申告分離課税の税率の引き下げ

3.     上場株式等にかかる譲渡損失の繰越控除制度の創設

4.     長期保有上場株式等のかかる暫定税率の特例の創設

5.     その他

個人が、平成13年11月30日から平成14年12月31日までの間に上場株式等を購入し、平成17年から平成19年までの間に譲渡した場合には、一定の要件のもとにその購入額の合計額が1000万円に達するまでのものにかかる譲渡益については非課税とする措置が講じられました。

 

所長のつぶやき……

雲一つない五月晴れのもと、ご近所の庭先では鯉のぼりが気持ちよさそうに泳いでいます。小泉総理も首相就任後1年を過ぎ、いよいよ、構造改革の真価が問われる時期を迎えております。支持率もスタート時の80%という驚異的な数字から半減していますが、この位の数字が本物の実力(あるとすれば)を発揮するには丁度いいのではないでしょうか。 このままズルズルといけば1年後には更に半減ということも大いにありうることです。

 ペイオフの解禁という金融環境の構造変化と機を一にして税理士業界も、4月1日の改正税理士法の施行に伴い業界内の構造改革が進んでいきそうです。

 目新しいところでは、税理士法人制度や補佐人制度の創設です。前者の法人化については、規制緩和や国民の期待する専門サービスに幅広く応えようとするねらいから、弁理士、弁護士と同様に制度化されたものです。伝統的な″個性に着目した自由業の本来の姿とは次元を異にした組織的サービスに対するニーズがどのような形で高まってくるか注目されるところです。

ビジネス一辺倒ではわり切れない税理士の仕事(と小生は考えているのですが)が法人化により今後どんな展開をみせるか、あせらず、じっくりと見極めていきたいと思っています。

後者については、少し補足説明をさせていただきます。

訴訟に関しては弁護士の独占業務ですが、税務に関する訴訟において、税理士が弁護士とともに裁判所へ出頭して納税者の弁護活動に参画できるようになりました。勿論、従前においても、裁判所の許可があれば補佐人として意見陳述が可能だったのですが、これからは裁判所の許可を要せず補佐人として納税者を弁護することができるというものです。そのためには民事訴訟法等訴訟実務の知識を体得していく必要がありますが、税務調査からスタートした納税者の権利救済について最後まで主体的に関与することができるようになりました。

 ともあれ、どんな制度も受皿ができればそれで良しというか、「仏作って魂入れず」ではどうしようもありません。資質の向上をはかるべく地道な努力をしていかなければ・・・。

 ゴールデンウイークの後半はツンドク状態の専門書に久方ぶりにごあいさつでもするとしますか。



(所長 橋本)


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