橋本博孔税務会計事務所

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平成15年3月1日


トピックス 〜平成15年度税制改正速報III〜

個人の確定申告もピークを迎えております。早い方ですともう既に申告がお済の方も見えると思います。弊事務所では、法人が中心ですので他の会計事務所に比べ所得税の確定申告は、少ないほうと思いますが、それでもまだ申告書作成作業の完成度は70%といったところでしょうか。
さて、今回は前2回でとりあげました平成15年度税制改正大綱なかで法人税の改正中心にもう少し掘り下げて説明をさせていただきます。

T. 中小企業技術基盤強化税制


 中小企業技術基盤強化税制の適用対象は資本金1億円以下の法人に限られますが、現行の中小企業技術基盤強化税制は、既に試験研究費の「総額」による税額控除が認められています。今回の改正では研究開発税制導入後もこの中小企業技術基盤強化税制を存続させた上で税額控除割合を現行 10%から15%(3年間の時限措置、本則12%)に引き上げられます(法人税額の20%限度)。

尚、税額控除限度超過額について1年間の繰越控除の適用が認められます。

U. 設備投資減税


設備投資減税は「IT投資減税」と「開発研究用設備の特別償却制度」からなりいずれも本則上3年間の時限措置となっております。

@ 「IT投資減税」は一定のIT関連設備等を取得・事業供用した場合、取得価額の10%相当額の税額控除と、取得価額の50%相当額の特別償却の選択適用を認めるものです。 また、資本金3億円以下の法人については、一定のリース資産にも、リース費用の総額の60%相当額につき10%の税額控除を認め、税額控除限度超過額について1年間の繰越控除の適用が認められます。

A 「開発研究用設備の特別償却制度」は一定の開発研究用設備等を取得し研究の用に供した場合に、取得価額の50%の特別償却を認めるものです。

B 適用事業年度は「平成15年4月1日以後終了事業年度から」となり、平成15年1月1日から平成15年3月31日までの間に、対象設備を取得した場合は、15年4月1日を含む事業年度において税額控除・特別償却ができます。

V. その他の中小企業関係の改正


@ 30万円未満の少額減価償却資産の全額損金算入制度
 現行制度の「10万円未満」が「30万円未満」に引き上げられました。

A 資本金1億円以下かつ自己資本比率50%以下の同族会社について留保金課税が不適用となりました。

B 交際費課税の緩和
 現行制度の資本金「5000万円以下の中小法人」を「1億円以下の中小法人」に拡大されました。それに加えて、定額控除の損金不算入割合「20%」が「10%」に縮小されました。




所長のつぶやき・・・・・・

 三寒四温という表現がぴったりの今日この頃です。 我が家の隣の畑では、梅が満開となっています。まもなく桜前線も東海地方へ近づいてくることでしょう。 確申期の作業も、どうやら第4コーナーをまわり、ゴールが見えて参りました。

かつてのように複雑な譲渡所得の事案(交換、買換)や住宅取得関連がわずかとなり、ゴルフ会員権の売却損にからんだ損益通算や医療費控除等、デフレ不況の世相を反映した申告内容が多くなっております。

さて、今月号では、最近の雑誌で“ふうーん”と感じた話題を御紹介してみたいと思います。
現代版『アリとキリギリス』のお話です。

登場人物は、「贅沢は敵」と思い込んでいるおばあちゃんと40〜50代の子供達です。年間の成長率はマイナス〜0%というように元気のない日本経済ですが、ストックとしてはバブルがはじけ、かなり目減りしたとはいえ、個人金融資産はまだまだ世界的にみても十分に誇れるものです。一説にはその資産は1200兆円ともいわれ、実にその6割を65才以上の高齢者が所有していると言われております。

現在の高齢者は、戦後何もないところからスタートして高度成長の波にも乗って、とにかく一生懸命働き、自分よりも家族のために、あるいは老後に備えて、ほとんどお金を使うこともなく、せっせと貯蓄に励んできました。今回登場するおばあちゃんもその例に違わず、節約が身に染みこんで、贅沢とは無縁のまま一生を終わってしまいました。それこそ、豪華旅行などもってのほかで、町内の老人会や郵便局主催での安いパック旅行が関の山でした。まさに働きアリそのものでした。

一方、子供達といえば、それなりに生活をエンジョイしており、幸いにして争族にはならず円満に相続が済み、自宅等の不動産以外に金融資産が手取りベースで4000万〜5000万円、労せずして自分達のものとなったのでした。 その使い道といえば、自宅の増改築、リフォームであったり高級車への買換だったりで、後生大事に貯蓄にまわすという発想はどの相続人にも見られませんでした。そして末っ子の提案で「一周忌を終えたらみんなで家族を連れて、ハワイへ行こう」ということになり、翌年は「喪中につきハワイへ」と相成りました。

おばあちゃんは、いざという時の為にせっせと働き、お金を貯めそのままそっくり残して死んでしまいました。そこへ、団塊の世代のキリギリス達がやってきて、「お母さんアリがとう」と言って、特別のこだわりもなく、どんどん消費にまわしていくのでした。

財産がアリ世代からキリギリス世代へと移転し、流動化が始まっております。
以上が現代版イソップ物語の要約です。
何となく割り切れない感情が残りますが、残酷でないところがせめてもの救いといえます。今年度の相続、贈与課税の抜本改正もやはりこの流れを容認、促進していることは間違いありません。

「身近にアリがいないキリギリスは一体どうしたらいいんでしょうか」というのが小生の実感であります。

(所長 橋本)

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