トピックス 〜平成15年度社会保険改正特集〜
平成15年4月から政府管掌健康保険と厚生年金保険が変わりました。
今回の改正では給付と負担の両面について見直されていますが、まずは負担についてとり上げてみます。
なお、健康保険の被保険者の医療費の本人負担が2割から3割になっております。ご注意下さい。
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政府管掌健康保険
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従来は、毎月の給与から8.5%の保険料と、賞与等から1%の特別保険料を納めていましたが、今年度から総報酬制が導入されることになり、保険料率を8.2%に引下げるとともに賞与等からも月給と同じ率の保険料を納めることになりました。
また、介護保険料についてはこれまで賞与からは徴収されていませんでしたが、平成15年4月からは、40歳以上65歳未満の被保険者については、賞与からも徴収されることになりましたのでご注意ください。
(保険料率は0.89%です)
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厚生年金保険
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従来は、毎月の給与から17.35%の保険料と、賞与等から1%の特別保険料を納めていましたが、今年度から総報酬制が導入されることにより、保険料率を13.58%に引下げるとともに賞与等からも月給と同じ率の保険料を納めることになりました。
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その他
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保険料の算定の基礎となる標準報酬月額は、毎年5月・6月・7月の月給をもとに算定されていましたが、平成15年4月からは、毎年4月・5月・6月の月給をもとに算定することになりました。
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表にまとめると以下のようになります。 |
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平成15年3月まで |
平成15年4月から |
月給 |
保険料 |
健康保険 |
標準報酬月額×8.5% |
標準報酬月額×8.2% |
厚生年金 |
標準報酬月額×17.35% |
標準報酬月額×8.2% |
基礎算定の対象月 |
5月・6月・7月 |
5月・6月・7月 |
適用開始月 |
その年の10月から |
その年の9月から |
賞与等 |
保険料 |
健康保険 |
賞与額×1% |
標準賞与額×8.2% |
厚生年金 |
賞与額×1% |
標準賞与額×13.58% |
上限額 |
健康保険 |
上限なし |
上限 :200万円 |
厚生年金 |
上限なし |
上限 :150万円 |
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注:
@標準賞与額とは、各従業員に支給した賞与額を千円未満切り捨てした金額になります。
A上記数字はいずれも総額表示です。これを会社と従業員が折半にて負担することになります。
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所長のつぶやき・・・・・・
新制度がスタートしました。
新緑がまぶしい季節となりました。 内憂外患という言葉がありますが、最近の私達を取り巻く環境を語るにまことに残念ながらぴったりですね。
まずは内憂から、日経平均株価も8,000円を割り込み経済は相変わらず沈みっぱなしです。わずかにトヨタ、日産、ホンダという大自動車メーカーが1人気を吐いていますが、これとて原価低減運動という大義名分のもと、どれだけの下請・孫請が泣かされていることでしょう。
そして最近気になる指標があります。日本の家計貯蓄率が急速に低下しているとのことです。(中小企業家しんぶんより)世界的にみて、我が国の貯蓄率は高く、これをいかに消費拡大に向けて活用するか、政府・経済界のねらいでしたが、皮肉にも最悪のパターンでこれが実現しようとしています。まずは数字で確認してみたいと思います。
前年対比減少率
平成12年度家計貯蓄率 9.3% −
平成13年度家計貯蓄率 6.6% 29.0%
平成14年度家計貯蓄率 5.8%(推計) 12.1%
一方、アメリカはブッシュ大統領の大幅減税効果もあって4%台へ回復しており近い将来、日米の家計貯蓄率が逆転するということになりそうです。
確かに、失業率でも逆転しており、日本経済の底なし不況の実態がこれらの数字からも明らかになっております。
その原因は大まかにいって
@ 中堅サラリーマン層は従来の年功序列賃金制度の崩壊やリストラにさらされ、収入ダウンが余儀なくされる一方、教育費、住宅ローン支出といった固定的支出のウエイトが高く、結果として消費性向(消費/可処分所得)が急上昇していること。
A 高齢化に伴い、多くの年金生活者は最近では金利低下と相まって貯蓄を取崩しながら支出(消費)水準を維持していること。
要はゆとりのある消費生活とは縁遠い、必要的消費支出を賄なうために貯蓄の余裕がなくなるとともに、過去の貯蓄を無理矢理はき出させられているということです。
これに輪をかけるように本年4月からは健康保険料、医療費の自己負担率、介護保険料の引上げ、年金給付の引下げ等家計を圧迫する制度改悪がスタートしております。
まさに、踏んだり蹴ったりの状況ですが、せめて新鮮な空気を求めて戸外へ散策に出かけたり、公共施設のスポーツ教室に通うなりして身体を鍛え気分をリフレッシュさせ、健康の増進に励みましょう。(おちおち、病気もしておられませんから。本当に)
こんな調子ですから、外患まで文章を進める気力がなくなってしまいました。
せめて来月号では先憂後楽的な、すがすがしい話題を提供したいと念願しております。
<追伸> 先月、名古屋税理士会で役員改選があり、選挙の結果、副会長に再選されました。
今しばらく御迷惑をおかけしますが、御寛容と御理解をお願い致します。
尚、今月号には1枚余分ですが、小生の名古屋税理士会報のウエーブ(一般紙の社説に相当します)を転載しましたのでご笑覧下さい。
(所長 橋本)
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