今般「平成10年分所得税の特別減税の為の臨時措置法が可決成立しました。今回はこの特別減税と平成10年度税制改正法案(法人税関係のみ)を特集します。

[T] 特別減税について



1.特別減税とは…平成10年分所得税の納税者に対して、その人の年税額から扶養親族等の人数等に応じた一定額を控除するというものです。

2.特別減税額

 @本人… 1万8千円
 A控除対象配偶者と扶養親族… 1人につき9千円


3.特別減税の実施方法

(1)給与所得に対するもの
「給与所得者の扶養控除申告書」を提出している給与所得者については、給与の支払時に次により特別減税額の控除が行われます。
@平成10年2月以後最初に支払われる給与に対する源泉徴収税額からの控除
 →源泉徴収をされるべき所得税額から特別減税額を控除
A年末調整時における平成10年分の給与に対する年税額からの控除
 →年税額から特別減税額を年末調整時に控除(上記@により控除された特別減税額を最終精算)
(2)公的年金に対するもの (詳細省略)
(3)上記(1)及び(2)以外の所得に対するもの

確定申告をする事業所得や不動産などに対する所得税は平成10年7月及び11月に納付する予定納税額の減税又は平成11年に行う確定申告により特別減税の適用を受けることになります。

(4)事務処理について
尚、具体的な事務処理の方法等については税務署より送付の特別減税のあらましを参考にして行うか、又は当事務所へ御相談下さい。


[U]平成10年度税制改正の具体的内容

−法人税関係−

(1)法人税率の引き下げ
・普通法人の税率 (37.5% → 34.5%) ・中小法人の軽減税率 (28% → 25%)
・公益法人及び協同組合等の軽減税率 (27% → 25%)
(2)法人税の課税ベースの見直し
貸倒引当金 法定繰入率が段階的に廃止されます。但し資本金1億円以下の中小法人については現行の法定繰入率が維持されます。
賞与引当金 賞与引当金制度が平成10年度より段階的に引き下げられ、廃止されます。
退職給与引当金 退職給与引当金制度の累積限度額基準の期末要支給額×40%が段階的に引き下げられ最終的に20%になります。
減価償却 新たに取得する建物の償却方法は定額法のみとなります。
・建物について耐用年数が10%〜20%程度短縮されます。
・少額減価償却資産(全額損金算入可能分)の取得原価基準が20万円未満から10万円未満へ引き下げられます。但し10万円以上20万円未満の資産については事業年度ごとに一括して3年間で償却できる方法を選択することができます。
有価証券の評価 上場有価証券の評価方法について切放し低価法が廃止されます。
収益及び費用 中小企業の交際費について、定額控除枠内の損金不算入割合が10%から20%に引き上げられます。
・役員の親族である使用人に対する過大な給与については損金の額に算入しないこととする規定が設けられます。
その他 機械装置等に認められている初年度の2分の1の簡便償却制度が廃止されます。
・営業権の償却方法が任意償却から5年間均等償却に改められます。
(3)法人事業税の税率の引き下げ
法人事業税の標準税率が12%から11%へ引き下げられます。
(4)その他
@地価税 … 当分の間停止されます(申告も不要)。
A法人の土地等の譲渡益重課税
  土地譲渡益に対する重加税は適用除外ないしは廃止となります。
B個人の土地等の譲渡益課税は大幅に緩和されます。


以上、法人税関係等を要約して記載しましたが、上記の個別の内容及び法人税関係以外の改正等については、 今後、随時お知らせ致します。また、詳細を知りたい場合はご連絡下さい。


所長のつぶやき

昨年末あれよあれよと言っているうちに2兆円の特別減税が決まりました。橋本総理(残念ながら親類縁者ではありません) も追いつめられたうえでの決断でした。大幅減税を望む国民の立場からすればそれなりに評価されましょうが、 税務を担当する私達の立場からすれば、何故あと2ヶ月前に決断をしてくれなかったのかと文句の一つでも言いたい心境です。 毎月の源泉からチビチビと減税してもらっても消費マインドを好転させるにはインパクトが弱すぎます。年末調整でまとまって 4〜5万円の追加還付金が手に入ったら多くのサラリーマン諸氏ももうちょっと明るい新年が迎えられたのではないでしょうか。

尚、実務的には2月分の給与支払時から順次控除するのが原則ですが、当事務所ではより簡単な手間のかからない 方法について思案中です。決まり次第臨時通信としてお知らせいたします。

(所長 橋本)   

  

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