橋本博孔税務会計事務所

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平成23年5月1日



 トピックス 〜平成23年度税制改正速報 W〜



 平成23年度の税制関連法案は政治状況の混迷によりまだ成立のメドがたっていないのが実情です。そのことを前提にしつつ、今回は、減価償却制度の改正、雇用促進税制の創設についてご紹介します。


 尚、ご質問は弊事務所へお気軽にお寄せ下さい。


 
 1.減価償却制度の改正

 

 概要

 平成23年度の改正で定率法の償却率が、いわゆる「250%定率法」を「200%定率法」に改められます。この200%定率法とは定額法の償却率を2.0倍にした数値を定率法の償却率として償却額を計算する方法です。尚、適用関係は以下の通りです。



(1)原則
平成23年4月1日以後に取得する定率法を採用する減価償却資産について適用されます。

(2)経過措置
  1. 平成23年4月1日前に開始し、かつ、平成23年4月1日以後に終了する事業年度において、平成23年4月1日からその事業年度終了の日までの期間内に減価償却資産を取得した場合は従前の方法(いわゆる250%定率法)により償却することができます。

  2. 250%定率法を採用している減価償却資産について、平成23年4月1日以後最初に終了する事業年度の申告期限までに届出をすることにより、その償却率を改正案の償却率に変更した場合においても当初の耐用年数で償却を終了することができます。

いずれにしましても適用時期については、今後の推移に注目しておく必要があります。


 
 2.雇用促進税制の創設



 概要

 公共職業安定所の長に雇用促進計画の届出並びに確認を行った事業主が、平成23年4月1日から平成26年3月31日までの間に開始する各事業年度において、次の要件を満たした場合には、その事業年度の法人税額から増加した雇用保険被保険者の数に20万円を乗じた金額を控除することができます。ただし、当期の法人税額の10%(中小企業者にあっては20%)が控除額の限度となります。尚、申告書には前記の計画等の書類を添付する必要があります。


 
要件1

雇用保険被保険者数を前事業年度末比10%以上かつ5人以上(中小企業者等については2人以上)増加させること

 
要件2

前事業年度及び当該事業年度中に事業主の都合による離職者がいないこと

 
要件3

当該事業年度における「支払給与額」が前事業年度における給与支払額よりも増加すること


  ( 給与増加額≧前事業年度の支払給与額×雇用者増加率×30% )

 
 なお、支払給与額とは、役員給与及び役員の親族に支払った給与並びに退職金は除外されます。また、使用人に対する給与に当てるために出向元企業から支払を受ける金額、国や地方公共団体等から支給される補助金や給付金で人件費に充当されるものも除外されます。









所長のつぶやき・・・・・・


 5月を迎え、本来ならば1年を通じ一番さわやかな季節になっていると喜べるのですが・・・・。


 夜はまだひんやりとしているものの、日中は暖かく行楽にもってこいの今日この頃です。 まさに、『目には青葉 山ほととぎす 初がつお』を実感します。


 新聞等に目を向ければ、東日本大震災の被害の爪跡が今日に至っても生々しく、死者と行方不明者を合わせると2万人を超える現実に胸が痛みます。地震、津波以上に深刻なのが原発事故に伴う放射能被爆の惨状です。当初発表されたレベル3や4の段階では収まらず、レベル7という最悪の状態になってしまいました。25年前のソ連・チェルノブイリ原発と同レベルになり、世界的規模での危機的状況に追い込まれております。


 東京電力や政府の対応のまずさ、拙さを非難することは簡単ですが、まずもって現場の最前線で自らの危険をも顧みず復旧作業に悪戦苦闘している職員の方々(恐らくは二次、三次の下請けの職員かと思いますが)にエールをしっかり送りたいです。


 また、避難生活も限界に近づきつつあり、仮設住宅や食事・医療面での早急なる復旧が進展することを祈るばかりです。被災地域の人々やボランティアの献身的な努力により幹線道路や交通機関はほぼ正常となりました。野菜や魚、肉に関する風評被害をまず日本の中から跳ね返して、安全性を世界に積極的にアピールしていく必要があります。


 他方、東北・北関東地区にある自動車、精密部品、石油化学関係の重要な生産基地が震災を受けた影響で、最終製品が組み立てられず、直接の被害地でないにもかかわらず西日本各地で工場の生産活動が事実上ストップを余儀なくされております。これらは風評被害ではなく実害となって表れ、今後生産ストップからくる売上急減となって連鎖倒産が多発するのではないかと懸念しております。


 金融庁等からの指導もあり、金融機関からは無担保・無保証人、元本返済の1年据え置き等、かなり優遇された融資案件が提案されているものの、いずれは返済しなければならないものであり、確実に売上の回復が見込まれない限り、融資に飛びつくのに躊躇してしまう企業も多いのではないでしょうか。


 しばらく我慢すれば、復旧・復興需要も現実になってくるかと願望を込めて期待しております。改めて雇用の確保と生産の合理化を進め、生産拡大、売上の増強に前向きに取り組む企業が関与先を含め多数になってくれることを強く念願する次第です。


 さて、未だ成立の見通しが立たない23年度の税制改正法案の行方が気になります。


 納税者権利憲章を含めた税務行政手続きの明確化や法人税率の軽減、一方では財源確保策の色彩が濃い給与所得課税の見直しや相続税・贈与税の課税強化等、震災復興財源の手当ても絡み、当初の原案通りのまま国会を通過するかどうかも含めて、文字通り五里霧中状態となっています。


 今後、税制改正法案の着地がどうなるか、注視するとともに、最新の情報につきまして随時お知らせしていきたいと考えております。あわせて、皆様のご意見をお待ちしております。




(平成23年5月1日 所長 橋本)   





                             


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