橋本博孔税務会計事務所

453−0801 名古屋市中村区太閤3丁目3番12号 平野ビル3階

Tel: 052-451-8555  Fax: 052-451-8551

Homepage:  http://www.aichi-iic.or.jp/co/hasimoto-tax/

平成23年6月1日



 トピックス 〜平成23年度税制改正速報 X〜



 平成23年度の税制関連法案は政治状況の混迷により前月同様まだ成立のメドがたっていないのが実情です。そのことを前提にしつつ、今回は、給与及び退職金関係についての改正をご紹介します。


 尚、ご質問は弊事務所へお気軽にお寄せ下さい。


 
 1.給与所得控除の見直し


(1)給与所得控除の上限設定
給与所得控除額は、給与収入に応じて控除額が増加する仕組みでしたが、給与等の収入金額が1,500万円を超える場合の給与所得控除額については、245万円が上限とされます。

(2)役員給与等に係る給与所得控除の見直し
役員等の給与収入が4,000万円を超える場合の給与所得控除額については、125万円が上限とされます。また、2,000万円から4,000万円までの間では、控除額が逓減されます。

(3)適用時期
平成24年分以後の所得税及び平成25年分以後の個人住民税

 
 2.特定支出控除の見直し



 特定支出の範囲の拡大

 改正前は要件を満たす給与所得者が稀で、利用が少ない制度でしたが今回の改正で、特定支出の範囲について、従来の研修費、通勤費、転居費、帰宅旅費、一定の資格取得費に加えて、下記の支出が追加されます。


(1)職務の遂行に直接必要な弁護士、公認会計士、税理士、弁理士などの資格取得費

(2)職務と関連のある図書の購入費、職場で着用する衣服の衣服費、職務に通常必要な交際費および職業上の団体の経費 <勤務必要経費(但し、65万円が限度)>

(3)適用時期
平成24年分以後の所得税及び平成25年分以後の個人住民税

 
 3.退職所得課税の見直し


(1)所得税
その年中の退職手当等のうち、役員等(但し、勤続年数が 5年以下の者 に限ります)がその退職手当等の支払者から支払を受けるものに係る退職所得の課税方法について、退職所得控除額を控除した残額を2分の1とする措置が廃止されます。この改正は、高級官僚の優雅な天下りに対する批判に一定程度応える内容となっております。

(2)住民税
1.退職所得に係る所得税の課税方法の変更は、住民税の税額を計算するうえでも、自動的に影響することとなります。

2.退職所得に係る個人住民税の10%の税額控除が廃止されます。

(3)適用開始時期
平成24年1月1日以後に支払われるべき退職手当等について適用されます。







所長のつぶやき・・・・・・


 6月がスタートする前に、早くも東海地方が梅雨入りとなりました。例年よりも2週間近く早いとか。加えて、超大型台風2号が発生し、全国各地に大雨を降らせました。地球温暖化の影響で、日本の四季折々の変化を楽しむ間もなく、春から一気に梅雨、夏に向かっているように感じられます。


 さて、先月末に、G8(従来の7カ国にロシアが加わっています)サミットがフランスで開催されました。福島原発事故の被害が拡大する一方で、原発先進国のフランスに於いて開催されることに不思議な因縁を感じます。議長国フランスの特別な配慮で異例の冒頭発言の機会を与えられた菅首相の演説は、いかなるものだったのでしょうか。マスコミ等から伝わってくる各国の首脳の評価は儀礼的で一過性のもののようでした。


 3月11日以来、日が経つとともに大震災そのものより、原発事故・放射能汚染の深刻な状況に暗澹たる気持ちが募るばかりです。政府、東電主脳、原発現場のトライアングルのちぐはぐ、連携の拙さぶりは如何ともしがたいです。東電社長と原発所長との軋轢、同じ原子力「村」の中でトップと現場の一体感の欠如やそれに振り回されているばかりの政府並びに直属の監督官庁。これは、もはや悲劇を越えて喜劇にもなりかねません。


 このようなお粗末な展開を見透かされ、首相の熱意も各国首脳には十分に届かず、置き去りにされてしまいました。とはいえ、深刻な事態は動かしがたい事実であり、世界的レベルで原発の安全確保を巡る条約を含めた法令の整備、IAEAの機能強化、安全性の飛躍的な強化について各国の一致が得られたのは貴重な成果といえます。


 東京電力や政府の対応のまずさ、拙さを非難することは簡単ですが、まずもって現場の最前線で自らの危険をも顧みず復旧作業に悪戦苦闘している職員の方々(恐らくは二次、三次の下請けの職員かと思いますが)にエールをしっかり送りたいです。


 また、不幸な地震を契機としながらではありますが、結果として中国との関係改善が見られるのも、明るい材料の1つと言えなくもありません。中国でも大震災直後から被害の映像が異例の24時間体制で放映されていました。「救援物資を公平に分け合っている」「モノ不足でも便乗値上げが起こっていない」「秩序が整然と保たれている」被災地の人々の姿を映し出し、日本人の公徳心・モラルの高さに驚きと称賛の声が高まっているようです。


 3年前の四川大震災時の日本人の救護隊の献身ぶりが思い起こされ、中国人の自発的な支援の輪が広がっていることは、大変意義深く、ぎくしゃくしがちな日中関係に友好の輪が広がっていくことに期待する次第です。


 一方、日本の今後のエネルギー政策はどのような展開を見せるでしょうか。


 菅首相の言葉を待つまでもなく、これ以上原子力に依存することは不可能でしょうから、本気で再生可能な自然エネルギーを確保することに人・モノ・金を集中的に投入することが必然の流れでしょう。


 この点に関して、ごく最近、嬉しい情報に接することができました。関与先のソフトウエア開発の会社がコーディネーター役を引き受け、黒潮を利用する海流発電システムの実用化を目指すプロジェクトチームが近々発足するとのことです。10年先を目途に商業化を実現させ、発電コストも原発と同額以下にしようとする意欲的なものです。


 無尽蔵ともいえる海流のエネルギーを効率よく受けとめる特殊なプロペラを回転させ、海底に敷設した送電線で陸上に電気を届けるという仕組みです。どんな大きな津波であろうと、海底近くに繋留された発電装置は安全であり、太平洋沿岸の海底に、数百個もの発電装置が並んでいる様を想像すると、まさにピンチをチャンスにする勇気がわいてきます。まだまだ克服すべき技術開発や資金面の課題等、困難はたくさんあるでしょうが、多様な自然エネルギーの本命の一つとして一日も早く商業化されることを願ってやみません。



(平成23年6月1日 所長 橋本)   





                             


戻る