橋本博孔税務会計事務所

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平成24年4月1日



 トピックス 〜雇用促進税制他〜


 今回は、平成23年度の税制改正で創設された雇用促進税制と、以前にご案内しました所得税の通勤手当の非課税限度、社会保険の現物給与(食事代)についてお届けします。

 尚、ご質問等は弊事務所へお気軽にお寄せください。




 T.雇用促進税制について



 公共職業安定所長に雇用促進計画の届出を行った事業主が、平成23年4月1日から平成26年3月31日までの間に開始する各事業年度において、次の要件を満たした場合は、その事業年度の法人税額から税額控除が受けられます。

≪要件1 雇用増加条件≫
  雇用保険被保険者数を前事業年度比10%以上、かつ、5人以上(中小企業者等は2人以上)を増加させること


≪要件2 事業主都合の離職がないこと≫


≪要件3 支払給与額増加要件≫


  給与増加額≧前事業年度の支払給与額×雇用者増加率×30%


≪要件4 風俗営業等の業種でないこと≫


≪その他≫


◎雇用促進計画の届出は事業年度から2か月以内提出、かつ、その事業年度終了後2か月以内に雇用促進計画の達成状況の確認を受ける必要があります。

  尚、この達成状況を確認した書類の写しを確定申告書に添付することにより、税額控除が受けられます。


◎税額控除額

  ア、増加した雇用保険被保険者数×20万円
  イ、法人税額×20%(中小企業者30%)

  ア又はイのいずれか少ない額



 U.非課税通勤手当の改正について



≪改正点の再確認≫

 自転車や自動車などの交通用具を使用している通勤手当については、通勤距離により各限度額が設けてあり、特に片道15キロメートル以上については、運賃相当額が各限度額を超える場合には、最高限度額10万円までの上乗せ特例が設けてありましたが24年1月以降廃止となっています。

 尚、「運賃相当額」とは、交通用具を使用している人が交通機関を利用したならば負担することとなる1か月あたりの合理的な運賃等の額に相当する金額をいいます。


 
 V.社会保険で現物給与に加算される食事代について



現物給与に相当するもののうち、告示額(愛知県では、昼食のみの場合1日210円)の3分の2以上に相当する額を食費として徴収していない場合には、現物給与として加算されます。


 (注意) 所得税の現物給与とは、取扱いが違いますので間違えないようにして下さい。








所長のつぶやき・・・・・・


 新年度がスタートしました。お彼岸が過ぎても三寒四温といいましょうか、お日様と寒風が綱引きを続けています。とはいえ、ようやく桜のつぼみもほころび、いよいよ満開へと春の訪れを実感する今日この頃です。


 昨年の東日本大震災から一年を経ましたが、高校球児が集う春の選抜大会では、偶然か神の手招きか、被災県の代表である石巻高校のキャプテンが選手宣誓を引き当てました。堂々とした、しかも心にしみる宣誓は大会参加者のみならず被災地の復興に汗している多くの人々に勇気と感動を与えてくれました。


 一方、NHKの連続テレビ小説「カーネーション」も大いに盛り上がりました。BS、総合の朝昼等、一日に何度も視聴していた人も少なくないようです。岸和田のダンジリの威勢の良さが主人公の性格にぴったりと合っていました。途中で主役が交代したことに関し、最初は違和感を覚えたものの、後任の女優・夏木マリさんはさすがの貫録と好演技でした。


 実話かどうかわかりませんが、病院内での看護師や患者さんによるファッションショーは、思わず目頭が熱くなってしまいました。とりわけ、末期ガン患者から笑顔という奇蹟を引き出し、病人のみならず被災者等、ややもすると希望を見出せず、暗く絶望の淵にたたずんでいる人に一筋の光明を照らすシーンは映画、演劇の魅力をいかんなく発揮していました。まずは自身が幸せを感じる努力をして、笑顔を通して幸せの御裾分けをしていくことの尊さを教えられました。


 その反面、愕然とするような事件が新聞紙面をにぎわしております。そう、AIJ投資顧問の年金消失疑惑です。金融庁による強制捜査が始まりましたので、まもなくその全容が解明されていくことでしょう。当初はリーマンショック後の金融危機に伴う運用の失敗が原因とみられていましたが、虚偽の運用の実態が明らかになるにつれて、運用の意思のないまま、新規資金を解約金に充当することが常態化して刑法上の詐欺罪に該当する可能性が現実的になりつつあります。


 昨今では非現実的としか言いようがない運用利率の5.5%の強制、厚生年金基金の設立認可とセットになった元厚労省幹部の天下り、証券取引等監視委員会や金融庁の監督の限界、様々な要因と想定外(原発事故でもおなじみとなったフレーズではありますが)の運用損失と虚偽報告の繰り返しによって、1,000億円を超える将来の年金基金が雲散霧消してしまっています。その被害者の大半が中小企業を主体とする地域型、職域型の基金であり、最終的な被害者はそこで働いていた(現に働いている人を含め)80万余という人々です。


 今後、司直の手によってその実態が判明するでしょうが、責任の所在を巡って、なすりつけの醜態をさらすに止まらず、真の被害者である労働者への救済がどうなるのか、心配のタネは尽きません。


 さて、野田総理が政治生命をかけるという強い決意のもとでの消費増税関連法案がかろうじて、その言明通り年度末までに国会に提出されました。また、昨年の大乱調の轍を踏むことを避け、無難な内容に徹した平成24年度税制改正法案も去る30日に可決成立しております。とはいえ、現段階は登山に例えるならば、まだその入口にようやく到達したに過ぎません。


 政界の動きを見ていますと、この先、頂上に至る道が整備されているわけでもなく、加えて、闇討ちや同士討ち等、何でもありの展開になっていきそうな雲行きです。日本の行末に大きな影響をもたらす政治の動向を今後とも注視していく必要があります。





(平成24年4月1日  所長 橋本)   






                                


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