橋本博孔税務会計事務所

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平成26年8月号



 トピックス 〜消費税の納税義務の有無について〜


 平成23年度税制改正において、消費税の免税制度を利用した租税回避等を防ぐことを目的として、免税制度の適用要件の見直しが行われました。


 この改正後も問題点は解消されるまでに至っていないとして、平成25年度税制改正で免税制度の更なる改正が行われました。


 今回は、消費税の事業者免税制度(とりわけ法人の納税義務)について、取り上げていきます。


 尚、ご質問等は弊事務所へお気軽にお寄せください。




 1.事業者免税点制度の変遷

 

法人の消費税納税義務の判定


平成16年3月31日
までに
開始する事業年度 

 
基準期間の課税売上高が
3,000万円以下であれば免税事業者
 
平成17年4月1日〜         
平成24年12月31日
までに
開始する事業年度



基準期間の課税売上高が
1,000万円以下であれば免税事業者

 
平成25年1月1日以後
開始する事業年度


次の
いずれにも該当すれば免税事業者

(1) 基準期間の課税売上高が
1,000万円以下

(2)
特定期間の上半期6カ月間の課税売上高が1,000万円以下

<(2)の売上高に代えて、その期間中の給与支給額を用いることができる>


特定期間
【1】 原則として前事業年度開始の日から6ヶ月間

 注1.前事業年度が短期事業年度(7ヶ月以下の事業年度)である場合は、【2】によります。

 注2.設立2年目の事業年度の場合に、第1期が7ヶ月以下の場合は、特定期間は有りません。(前々事業年度が存在しない為。)


【2】 前々事業年度開始の日から6ヶ月間

 その事業年度の前事業年度が短期事業年度(7カ月以下の事業年度)である場合は、その事業年度の前々事業年度の開始以後6ヶ月の期間を特定期間とします。



(注 意) これにより、基準期間の課税売上高が1,000万円以下で免税事業者の届出を提出した適用年度においても、特定期間中の課税売上高と給与等の支給額のいずれもが、1,000万円を超える場合には、免税事業者にはなりませんので「消費税課税事業者届出書(特定期間用)」を提出することになります。




 2.新設法人の特例



その事業年度の基準期間がない法人のうち、その事業年度開始の日における資本金の額が1,000万円以上である法人は、原則として基準期間のない2年間は納税義務が免除されません。(平成9年4月1日以降の設立法人)


(注)基準期間の課税売上高 ⇒ 原則的には、前々事業年度の課税売上高(免税事業者の場合は、税込みで計算)

 なお、その年度が1年未満については、年換算をします。





 3.特定新規設立法人の納税義務



新規設立法人で、次のイ及びロのいずれの要件にも該当する法人については、原則として基準期間のない2年間は納税義務の免除規定が適用されません。


イ.  その事業年度の基準期間がない法人において、特定要件に該当する。
特定要件 他の者により、発行済み株式等の50%超を直接又は間接に保有されている場合
ロ.  特定要件の判定の基礎となった他の者のうちいずれかの者の新設開始日(基準期間がない各事業年度開始の日)の属する事業年度の基準期間に相当する期間の課税売上高が5億円を超える。
適用時期 平成26年4月1日以後設立の法人から適用。









所長のつぶやき・・・・・・


 暑 中 お 見 舞 い 申 し 上 げ ま す


 連日、猛暑が続きどこでもだれでも熱中症の恐れを意識しなければならなくなっております。高齢者に限らず室内でもエアコンの適切な使用と水分補給に気をつけて過ごしたいと思います。


 さて、少し早いのですが、来年度向けの税制論議で気になる動きがあります。一つは法人税の減税を巡る駆け引きです。EUあるいは東南アジア諸国の多くが法人税の実効税率(法人税、県市民税に損金算入される法人事業税を加えた税負担率)が20%台となっているのに対抗すべく、我が国でも法人税率の大幅引き下げが焦点になりつつあります。


 安倍首相と蜜月関係にある日本経団連傘下の大企業を中心に、「国際競争力の強化」を錦の御旗として早期実施を迫っています。問題は減税の効果とその代替財源をどうするか、という点です。


 各種の経済指標で明らかなように、リーマンショックの痛手からようやく回復してきた日本の産業界(金融機関を含め)は、この間人件費を抑え、設備投資も減価償却費の範囲内に留め、毎年何兆円もの内部留保を積上げているのが実態です。これでは減税の効果が個人消費を含めた国内経済の活性化にはインパクトが弱く、結果的には大企業の内部蓄積に貢献する(?)だけになってしまいます。


 もっとも、賞与や配当金を増額する動きはあるでしょうが、庶民の暮らし向きには雀の涙程度の効果しか期待できません。一方、減税の財源をいかに調達するかという大問題があります。


 法人税率を1%引き下げると5000億円の税収減になると言われております。仮に5%の引き下げを目指すとなれば、およそ2兆5000億円もの巨額な財源を確保しなければならなくなります。期限切れを迎える租税特別措置を全廃しても1兆円には到達しません。と同時に、現実的にはそれは夢物語で、最大限見積もっても数千億円といったところでしょうか。


 この結果、今後の景気回復に伴う法人税収増をあてこむとともに、消費税率の更なる引上げに加えて、中小企業分野における法人税の各種軽減策について廃止を含めた見直しが検討されています。


 主なものとしては、


 (1)年所得800万円までの軽減税率(現行15%)適用範囲の見直し


 (2)過年度(現行9年間)に発生した欠損金の100%損金算入を制限する。つまり、当期に利益がでた場合、現行では通算されて法人税等の負担をしないのが、一定割合については法人税等を課するというものです。現行では大企業だけに適用されていますが、これを一般化しようとするものです。


 (3)法人事業税に対する外形標準課税の適用範囲を大企業だけでなく、中小企業にも拡大する


 というものです。


 この外形標準課税は法人の所得のみを課税標準とするのを改めて、付加価値、つまり人件費をターゲットにするものです。どんなに赤字だといっても、人件費負担のない企業はありませんし、中小企業は典型的な労働集約型産業であり、賃金税として、最低でも年間数十万円の新たな税負担が余儀なくされるでしょう。赤字で法人税を納めなくても消費税は納税しているのが一般的です。その意味では、外形標準課税は第2の消費税(地方税版)と言えそうです。


 このように、概ね大企業が恩恵を受ける法人税率の引下げのしわ寄せが中小企業に跳ね返るという構図であり、中小企業にとっては見過ごすことができない税制改正の動向です。今はまだ水面下の議論かもしれませんが、浮上してからでは手遅れになってしまいます。引き続き注視していく必要があります。







 ≪ 和奏わかな・遼真りょうま通信 ≫


 
「アナと雪の女王」の大ヒットで映像や歌が毎日のように街中に流れています。ご多分にもれず、和奏も5月の連休に映画を観てから、すっかりエルサ姫にはまっています。アイパッドの動画を見ながら振りをつけて歌い、今では歌詞を全部覚えています。2歳10ヶ月の遼真も一緒に「ありの〜ままの〜」と歌い出し賑やかなことです!


 先日も、和奏が我が家の近所の女児達(小学1年から5年生)と遊んでいた折、妻が歌詞カードを持って「歌える?」と誘ったところ皆、得意げに大声で歌い始めました。その元気な歌声は少し離れた我が家にも聞こえてきました。夏休みならではの楽しいひとときでした。残念ながら映画は一緒に観たものの、小生は歌うには至らずニコニコと見ているだけでしたが...。



(平成26年8月  所長 橋本)   






                            


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