橋本博孔税務会計事務所

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令和2年3月号



 トピックス ~令和2年度税制改正大綱 消費課税~


 令和2年度の税制改正法案の審議が始まっております。今回の税制改正の内、消費課税についてご案内します。


 詳しくは当事務所にご相談ください。




 消費課税


 1.法人に係る消費税の確定申告の提出期限の特例

 

法人税の確定申告書の提出期限は、事業年度終了の日の翌日から2か月以内にすることになってます。ただし、一定の要件の下、税務署長に申告期限の延長の申請書を提出することにより申告書の提出期限を1ヶ月間(連結事業年度にあっては2ヶ月間)延長することが認められています。これは、法人税では確定した決算に基づいて所得を計算する必要があることから特例により認められています。


 これに対し、消費税には確定した決算に基づいて消費税額を計算する概念はなく、課税期間中の課税売上げ及び課税仕入れに基づいて消費税額を計算することから申告期限の延長は認められていませんでした。


 ただし、実務上は申告書の提出期限までに一旦申告納付をして、決算が確定した段階で修正申告又は更正の請求をしているのが実情です。こういった実態に配慮して、今回の改正で、消費税についても下記の要件を満たせば法人税と同様の申告期限の延長が認められることになります。


要件


 法人税の確定申告書の提出期限の延長の特例を受けており、かつ、「消費税の確定申告書の提出期限を延長する旨の届出書」を提出することが必要です。
 なお、延長期間中の納付についてはその間の利子税(ただし、延滞税とは異なり損金の額に算入されます。)の負担をする必要があります。


適用時期 令和3年3月31日以降に終了する事業年度の末日の属する課税期間から適用されます。





 2.賃貸用物件に係る課税区分の実質判定

 

< 従前の取扱い >


 住宅の貸付けが非課税となるのは、「契約」において人の居住の用に使用することが明らかにされている場合に限られます。
 また、住宅として貸し付けられた建物について、契約当事者間で住宅以外の用途に変更することについて契約変更した場合には、契約変更後の当該建物の貸付けは、課税資産の譲渡等に該当することになります。


 ただし、貸付けに係る契約において住宅として借り受けている建物を賃借人が賃貸人との契約変更を行わずに、当該賃借人において事業の用に供したとしても、当該建物の借受けは、当該賃借人の課税仕入れに該当しない事になります。


< 改  正 >


 建物の貸付けについては、賃貸物件の状況等から人の居住用であることが明らかな場合には、契約書に賃貸物件の用途が明記されていない場合でも賃貸料を非課税とすることになりました。


適用時期 令和2年4月1日以後の家賃が非課税とされます。



 3. 居住用賃貸建物の取得等に係る仕入税額控除の見直し

 

 住宅として貸付けを行う建物を取得した場合は、住宅の家賃(非課税売上げ)に対応する仕入れに該当するため、その建物の取得に係る消費税については、取得価額が1000万円以上の高額特定資産については消費税の仕入税額控除を認めないこととされました。


 ただし、住宅の貸付けに供しないことが明らかな部分については仕入税額控除が可能となります。


 3年内に譲渡または居住用以外に転用した場合には、その時点で仕入税額控除が可能となる調整が行われます。


適用時期 令和2年10月1日以後の取得から適用されます。









所長のつぶやき・・・・・・


 3月の声を聞くと、例年でしたら「春を予感します」とか、「3寒4温」といった、温もりのある言葉が耳に心地よいのですが、今年に限っては、日本全国がなんとなく重苦しい雰囲気に包まれています。言わずと知れた新型コロナウイルスの猛威が経済、暮らしを揺さぶっております。最初に発症した中国での感染者数が事務所通信先月号では多めに表現したつもりの2万人を軽く突破し、7.8万人へと増大しております。死者の数もいずれ3,000人を超えることでしょう。中国以外でも世界中で50か国を上回り、感染者との接触が不明な市中感染者も出ているようです。


 感染者数が韓国に次いで多い、日本でも遂に非常事態宣言とでも言うべき異例な措置が政府より発表されました。安倍政権が大きな賭けに出たといったところでしょうか。2月29日の朝日新聞朝刊の見出しでは「首相独断休校見切り発車」となっております。前日の衆院予算委員会では、一斉休校の理由として、「先手先手でやるべきだと今回判断し、全国一律とした」「極めて切迫した時間的制約の中で、最後は政治が全責任を持って判断すべきものと考えた」「(感染が)広がってからでは遅い」と語っております。


 果たして、この言葉が実際に全うされるのか一抹(いや、大いにと言ったほうが良いかもしれませんが)の不安があるものの、政権の本気度が試されることになります。確かに、北海道のように全道的に感染者が拡大している状況では、週末の外出自粛要請を始めとした「緊急事態宣言」も説得力がありますが、いきなり僅か4日後の3月2日から全国の小中高を一斉休校にするという、いってみれば超法規的な宣言をすることが妥当であったか、今後の検証過程で、その当否が問われることになるでしょう。全国各地の様々な地域事情や家庭環境への配慮のないままでの強硬実施の影響が、まさに本日から現実のものとなります。


 感染者の数がそれなりにある名古屋市でも、一律休校といった機械的な措置には従わず、家庭待機が困難な児童・生徒達は教員の責任で学校で預かる?(通常授業ではない対応のようです。)という試行錯誤が行われる模様です。保育園や病院を始めとする職場でのスタッフ不足からくる2次災害的な混乱が、却って社会不安を増幅するという悪循環にならないことを祈るばかりです。


 一方、経済を取り巻く環境では既に甚大な被害状況が世界的にも、日本国内でも顕著になりつつあります。日本国内の状況に限っても、経済の先行きを占う「日経平均」もわずか1週間で2,000円を超える大幅な下落となっております。昨年の10月に消費税が飲食料品等を除いて10%に引き上げられた影響で現実の経済成長率の大幅な引下げ、マイナス成長という結果をもたらしており、この1~3月の見通しも更なる悪化を覚悟しなければなりません。


 新聞やテレビのニュースをみても、観光地では閑古鳥が鳴いており、客よりも店員の方が多いといった現象が現実のものとなっております。観光地はいうまでも無く、これから、今や世界の工場となった中国でのサプライチェーンの寸断が日本の製造部門に波及して一段と経済活動の不振を余儀なくされそうです。今回の新型肺炎の災いが「パンドラの箱」を開けるという悪夢だけは杞憂に終わって欲しいものです。


 なお、一つだけ、税理士業界にとって、朗報とでもいうべき取扱いが先週、国税庁から発表されました。今、佳境を迎えております所得税の確定申告に関する申告期限・納期限が1か月延長されることとなりました。東日本大震災等で採用された災害に伴う特例措置が、今回は全国一律で適用されます。かつて無い特例措置であり、ややほっとしているところです。とはいえ、気を引き締めて着実に後半の確定申告事務をこなしていきたいと考えております。













 ≪ 和奏わかな・遼真りょうま通信 ≫


 二人とも、今週からの異例な授業環境に戸惑いを隠せておりませんが、なんとか切り抜けていってくれることでしょう。昨年でしたら、和奏は卒業式を控えており寂しい思いをしたかもしれませんが、自宅待機や学校での変則的な預かりに柔軟に対応できそうです。遼真も2年生になっておりますし、自宅学習に抵抗はなさそうです。それに、強い味方であるお姉ちゃんと二人での自宅待機となりますから、意外と心配することもなさそうです(希望的観測を含めてですが)。こうした経験の中で、家族や身内の絆が深まれば、「災い転じて福となす」という諺が実感できそうです。




(令和2年3月2日  所長 橋本)   






                                


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