橋本博孔税務会計事務所

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令和2年7月号



 トピックス ~消費税関係の税制改正~


 令和2年税制改正において創設された消費税の確定申告書の申告期限の延長、居住用賃貸建物に係る仕入税額控除の制限規定など、重要な改正が行われました。


 今回は消費税関係の税制改正についてご案内します。


 詳しくは当事務所にご相談ください。




 (Ⅰ) 消費税の確定申告書の提出期限の特例

 

●適用要件

 法人税の「確定申告書の提出期限の延長の特例」の特例を受けている法人に限り、「消費税申告期限延長届出書」の提出により、消費税及び地方消費税の確定申告書の提出期限を1か月延長することができます。


●適用年度

 「消費税申告期限延長届出書」を提出した日の属する事業年度以後の各事業年度(課税期間)


●利子税(損金不算入の延滞税ではありません)

 法人税と同様に延長された期間に係る利子税の納付が必要です。


(注)メリットはあっても、デメリットはありません!




 (Ⅱ) 居住用賃貸建物に係る仕入税額控除の制限規定の創設


 1.居住用賃貸建物の取得等に係る仕入税額控除の制限

 

令和2年10月1日以後に行う居住用賃貸建物※1)に係る課税仕入れ等の税額については、仕入税額控除の対象としないこととされました。


令和2年3月31日までに契約し、令和2年10月1日以後に行われる経過措置の適用を受ける居住用賃貸建物については、上記の制限は受けません。

 
 ※1 居住用賃貸建物とは


住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物以外(住宅専用に加えて用途が不問・不明な賃貸借物件)で高額特定資産等(棚卸資産および調整対象固定資産で税抜き1000万円以上であるもの。)


(注)建物の一部が店舗用になっている店舗付住宅をその構造及び設備等の状況により住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな部分とそれ以外の部分とに合理的に区分しているときは、その居住用賃貸部分以外の部分に係る課税仕入れ等の税額については、今までと同様に、仕入税額控除の対象になります。





 2.居住用賃貸建物の取得等に係る消費税額の調整

 

上記1において仕入税額の制限を受けた「居住用賃貸建物」について、次のいずれかに該当する場合には、仕入税額を調整することとされました(実務上、継続的管理が求められます)。


◎ 第三年度課税期間(※2)の末日にその居住用賃貸建物を有しており、かつ、その居住用賃貸建物の全部又は一部を調整期間(※3)に課税賃貸用(※4)に供した場合


 次の算式により計算した消費税額を第三年度の課税期間の仕入控除税額に加算する。





 ※2 第三年度の課税期間 居住用賃貸建物の仕入れ等の日の属する課税期間の初日以後3年を経過
する日の属する課税期間。


 ※3 調整期間 居住用賃貸建物の仕入れ等の日から第三年度の課税期間の末日までの間。


 ※4 課税賃貸用 非課税とされる住宅貸付以外の貸付の用をいいます。


 ◎ 以上の他、調整期間中に他の者に譲渡した場合(省略)








所長のつぶやき・・・・・・


 いよいよ今年も後半に突入しました。穏やかに年が明け、景気もまずまずで夏にはオリンピックが開催されるという明るい希望に満ちた年になるはずでしたが、2月になってから一転して「新型コロナウイルス」なる未知との遭遇!が始まり、全世界で遂に1,000万人を超える感染者、50万人の死者が発生しております。先進諸国でもアメリカでは第2波というより、第1波がまだ継続しているようですし、EU諸国も日本も安心できる状態とは程遠いままで推移しております。懸念されるのは、ブラジル、ロシア、インドといった地政学的にも重要な新興国や、それらに続く発展途上国も収束が見通せないどころか、これからピークを迎えそうな状態です。


 ヒト、モノの動きを制限すれば着実に感染者数も抑え込めることが実証できているにも拘わらず、そうすれば肝心の経済が麻痺してしまい、人々の命と暮しが危険に晒されるという二律背反・絶対矛盾に陥りつつあります。とりわけ、アメリカでは秋の大統領選挙を目前に控え、現職のトランプ氏はなりふり構わず、感染防止よりも経済を優先させてきましたが、感染者数の新たな増加という現実に抗しきれず、経済第一という選挙戦略の修正を迫られております。


 日本においても例外ではなく、二度に亘る空前の大型補正予算を編成し、企業の経済活動や国民生活のセーフティネットの構築を急いでおります。実際に、国民一人あたり一律10万円という特別定額給付金、雇用調整助成金、持続化給付金として法人には200万円、個人事業者には100万円(いずれも最高額)、賃借家賃に対する支援給付金として最高6か月・600万円を助成することが盛り込まれております。


 また、中小企業の急激に悪化している資金繰りにも対処すべく、実質的に無担保・無保証人による3,000万円の緊急融資(その他にもいくつかの制度融資等を組み合わせることにより、7,8千万円までの借入が可能となっております)等々、安倍内閣としても最大限の経済対策を矢継ぎ早に打ち出しております(心配なのは、これらの予算措置がすべて赤字国債の追加発行で賄われていることですが、現時点では、あくまで緊急避難措置であるとして、あえて目をつむるしか妙案もないといったところでしょうか)。


 ところが、これらの緊急措置が期待とは裏腹に国民・事業者の手元になかなか届いていない現実があります!申請から1か月近く待たされるのがザラであり、「Too Late」遅すぎる!というのが実態です。速さを売りにした電子申請がトラブル続きで使い物にならないという悲喜劇も全国各地から報告されております。この結果、緊急事態宣言の全面解除を決めた当時(5月25日)、安倍総理は「希望は見えてきた。出口は視野に入っている」と見えを切ったものの、それから一か月以上経過した今日に至っても出口が一向に見えず、事業の継続をあきらめ、会社をたたむという厳しい実態がマスコミで報道されております。


 かつてのリーマンショックや東日本大震災とも決定的に異なる、今回のコロナ危機に対して、為政者の本気度が問われているとともに、私たち一人ひとりも生き方・働き方を含めて模索していくことになりそうです。ワクチン開発も世界的に進展しているような、そうでもないような不透明感が漂う中、短期での決着は望めそうもありません。


 「桜を見る会を巡る公私混同」「黒川検事長の検事総長就任に向けた検察庁法改正の牽強付会」「コロナ緊急対策予算の実行に伴う丸投げ・中抜き疑惑」等々、安倍一強政治に対する波紋の拡がりとコロナ収束の見通しの不透明感が複雑に絡み合って、早ければ秋口にも政局が一気に流動性を高めかねません。いずれ遠くない時期に衆議院解散・総選挙も予想されます。主権者としての一票の価値がかつてないほどに重みをもち、日本の行く末にも大きな影響をもたらすことでしょう。













 ≪ 和奏わかな・遼真りょうま通信 ≫


 先月、じいじは元気に73歳を迎えました。二人から、お祝いのメッセージをもらいました。


 和奏からは絵が飛び出るという工夫をこらした絵手紙で、手書きのケーキの中に73個!のイチゴが書き込んでありました。Grandfatherを手始めに英語が満載でした。


 一方、遼真からもカラフルなクレヨンでバースデイカードが届いております。学校生活も徐々に正常化しつつあるようですが、この間の変則的な生活の影響によるストレスが蓄積していないことを願うばかりです。




(令和2年7月1日  所長 橋本)   






                                


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