橋本博孔税務会計事務所

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平成17年6月1日



 トピックス 〜人材投資促進税制パートU〜


 今回は、前回に引き続いて、平成17年度税制改正の目玉商品である人材投資促進税制をお届けします。

 尚、確定申告に関するご質問は弊事務所へお気軽にお寄せ下さい。



(1)

概要



 青色申告書を提出する法人等の各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される教育訓練費の額が、その法人の直前2年以内に開始した各事業年度の教育訓練費の平均額を超える場合には、その超える金額の25%に相当する金額を当期の法人税額から控除する(法人税額の10%が限度)。


 ただし、中小企業者等については、教育訓練費の総額に対して、増加率の2分の1に相当する税額控除率(20%が限度)を乗じた金額を当期の法人税額から控除する(法人税額の10%が限度)。というものです。


法人については、平成17年4月1日から平成20年3月31日までの間に開始する事業年度から適用され、個人事業者については、平成18年分から平成20年分までの間適用されます。



(2)

教育訓練対象費用の範囲



(1) 教育訓練対象者は、当該法人の役員を除く使用人です。従って使用人兼務役員は除かれます。又、個人事業者の事業主とその家族も教育訓練対象者から除かれます。
(2) 教育訓練対象支払先は、教育訓練事業提供企業等ですが、子会社等の関連会社への支出も教育訓練対象支払先に該当します。
(3) 社員や役員が講師となって行う教育訓練について、社員や役員に講師料等が支払われても税額控除の対象になりません。
(4) 給料手当、福利厚生費になるもの及び減価償却資産については税額控除の対象になりません。



(3)

対象となる教育訓練費の例示



(1) 講師、指導員等経費・・・・社外講師、指導員に支払う講師料及び指導料等。尚、講師及び指導員等に支払う交通費も含まれます。
(2) 教材費・・・・・・・・・・・・・・・・研修用の教材、プログラム(資産計上された物を除く)等
(3) 外部施設使用料・・・・・・・・研修用の会場等の賃借料又は使用料等
(4) 研修参加費・・・・・・・・・・・・講座等の受講費用、参加費用等で、会場までの交通費は教育訓練費から除かれます。
(5) 研修委託費・・・・・・・・・・・・外部教育機関へ委託する場合の委託費用 などです。



(4)

税額控除を受けるには



この税額控除を受けるには、以下の内容を証明する資料の提出が求められることになりましたので、これらの証拠書類の保存に努めたいところです。(過去2年分についても早めに整理しましょう。)


(1) 教育訓練等の実施年月日
(2) 教育訓練等の内容
(3) 教育訓練等に参加した使用人の氏名
(4) 費用を支出した年月日、内容及び金額
(5) 支出先の氏名又は名称、住所(若しくは居所)又は本店(若しくは主たる事務所)の所在地
(6) その他参考事項


尚、販売費及び一般管理費の各勘定科目に新たに「教育訓練費」勘定を設けることをお勧めします。





所長のつぶやき・・・・・・


 今年も本業と会務のバランスを取りながらやりくりしていましたら、あっという間に6月を迎えました。ジュ−ンブライドという言葉があります。6月の花嫁は幸せになるという響きがありますが、小生は勝手に6月生まれの人は幸せになれると自己暗示をかけています。(楽天的なところが小生の取柄です)6月生まれの皆さん、いかがですか。是非ともご賛同をいただきたいと思います。


 いよいよ小生も58才を迎えます。60才の還暦まで、あと2年かと思うと多少の感慨がわかないわけでもありません。体力の点は独立開業当時(平成元年)程ではなくとも、病気一つせず16年間元気に過ごしてきました。税理士という職業が小生にとって天職とも感じられ、この仕事は小生に合っていると今更ながら実感している今日この頃です。


 ところで、話は変わりますが、先月の16日に全国各地の税務署で、昨年の所得税の確定申告で納税額が1000万円を超えた高額納税者が公示されました。いわゆる長者番付の公表です。


 今年の話題はなんといっても、土地長者や株長者を抑え、役員でもない、投資顧問会社のサラリ−マン部長が堂々一位を占めたことです。しかも、なんと1年間の納税額が、36億9千万円でした。所得の内訳までは不明ですが、全てが給与収入であるとしたら年収が100億円強ということになり、二度ビックリです。創業者の株式公開や土地成金ではない、自らの才覚と研ぎ澄まされた時代感覚で、株式相場を先取りした、まさに“カリスマディ−ラ−”といえます。投資家をハッピ−にすることが自らもハッピ−になる一つの典型といえなくもありません。


 公示当日の街頭インタビュ−でも市民は敏感に反応していました。他人様のフトコロを気にしていても仕方がないけれど、せめて一度でもいいから長者番付に自分の名前を載せてみたいという感想が印象的でした。また芸能人の人気のバロメ−タ−にもなっていますね。


 一方、当事者(匿名が多いです)のコメントから、この公示制度の問題点も浮き彫りにされてきています。例えば、望まない寄付の強要や振り込め詐欺・押し込み強盗等の犯罪にこの高額納税者名鑑が悪用されているという現実の弊害も明らかになっています。


 もともと公示制度の歴史は古く、戦後のシャ−プ勧告に基づき、昭和25年からスタ−トしています。当初は一定の所得金額超が公示の対象とされ、ねらいは脱税への牽制効果でした。その後、所得と納税額が必ずしも連動しないことに加え、高額納税に対する顕彰の意味合いを強めるため、1000万円を超える高額納税者を公示することにして今日に至っています。


 ところが、この公示制度は先進国でも日本独自の制度であり、プライバシ−保護の高まりや個人情報(納税額は個人情報の最たるものですよね)保護法の全面施行が本年4月から始まっており、前述の悪弊も考慮するとどうやら今年限りになりそうな雰囲気です。


 どちらにせよ、小生には縁のない制度ですが、職業的には、経済全体の底上げの結果、所得水準が上がり、納税額が大幅に上昇し、財政の悪化に歯止めをかけてもらいたいものです。


尚、蛇足ながら先月28日(土)に東海テレビの朝の情報番組で小生の簡単なコメントが紹介されていましたことを付言させていただきます。
ご一読いただければ幸いです。

(所長 橋本)   


                  



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