ゴム 成形 名古屋 愛知県

ミトクゴムの面白館 05年6月号 1.ゴムの弾性 2.金糸梅

1.ゴムの弾性 
ゴムは、柔らかく伸び縮みします。そして もとの形に戻ろうとします。
こうした特性の基本は、その分子運動性によることがわかっているそうです。
今日は、ご存知の方が多いとは 思いますが、2種類のゴムの事例で
紹介させていただきます。

下の図は、ゴルフボールによく使われているブタジエンゴムと 
防振ゴムに使われている ブチルゴムとの比較です。
日本ゴム協会が編集した「ゴム技術入門」から転載させていただきました。

ゴムの分子は、小学生が運動場で元気いっぱいに両手をつないで列を
作って動き回っている状態と同じで、片時もじっとせず、めまぐるしく
動き回っています。骨格となる鎖(主鎖)の原子【C−C結合】には、
側鎖と呼ばれる原子団がくっついています。
回転運動のし易さは、この原子団の大きさに依存しています。

ブタジエンゴムの側鎖には、最も小さくて軽い水素原子が結合していて、
回転し易い状態となっています。この回転のし易いことが、
ゴムの回復力→「ゴムの弾性」となって顕われます。
クラブヘッドでボールを打った瞬間、ボールは 大きく変形しますが、
クラブを離れたとたん、元通りの球形にもどっています。(数千分の1秒)

一方、側鎖にメチル基2個という 重くて大きい原子団を持っている
ブチルゴムは、友達2人をひもで腰にしばり付けられた子供が
身軽な子供と交互に手をつないでいる構造にたとえられています。
運動しようとすると、周囲との摩擦により 大きなエネルギーロスが生じ、
全体の動きも鈍くなり、回転運動は遅くなります。
反面、外から入ってくるエネルギーを内部に吸収するので、防振ゴムには
最適となります。
 
側鎖の原子団によって こんなにも用途は変わるものだというのが
よくわかりますね。                        
2 金糸梅(キンシバイ)
名古屋市内の歩道や中央分離に まばゆい黄色の花が咲き出しました。
私自身 知らなかったので 調べて初めて わかったのですが、キンシバイです。
低木で枝が山吹のように垂れ下がった植物です。
6月というと、菖蒲や 紫陽花、睡蓮と、寒色系の花が主流ですが、
元気のでる 黄色の花も たまには いいですね。皆さんのお近くにもあるかな?
名古屋、「吹上」付近。
ミトクゴムの面白館 05年5月号 杜若


愛・地球博で盛り上がっている愛知県ですが、
古めかしい杜若(かきつばた)の名所をご紹介します。
知立市(ちりゅうし)にある「無量寿寺」です。ご存知の方も多いとは
思いますが「伊勢物語」の東下りの段に登場する三河八橋です。

昔、男ありけり・・・・登場する在原業平は、八二五年に生まれ、五六歳で没しています。


平城天皇の皇子である阿保親王を父とし、桓武天皇の皇女伊登内親王を
母としています。王号を停め在原朝臣の姓を賜って臣籍に下ったのは、時の権力者、
北家藤原家との確執があったのでは?とささやかれています。
今で言う、「勝、負け組」の「負け組」かもしれませんね。
年長の友人には、文徳天皇第一皇子の惟喬(これたか)親王がいます。
立太子争に破れ平安京の北の【小野】に隠棲したと伝えられています。親王が、
発明したろくろを、付近の山民に教えたという伝説は、中世に入って、
近江木地師が「座」を形成する上で積極的に利用した伝承です。
「小野」「小椋」「惟喬親王」「在原業平」が登場する民話や地名、伝承には昔、
木地師集団となんらかの接触があった痕跡ではないかと思われます。

哀調を含んだ短歌の雰囲気が 杜若の紫に実によく似合っているなあと感じます。
何かの機会がございましたら、
いつか お立ち寄りになられてはいかがでしょう。
  唐衣きつつなれにし つましあれば はるばる来ぬる 旅をしぞ思う


ミトクゴムの面白館 05年2月号フッ素と椿とお茶

テフロンのフライパンを始め ご存知のように フッ素は私達の身の回りにたくさん使われています。
液晶材料の高分子にもフッ素はかかせません。一方、自然界の動植物にもフッ素は含まれています。
特にツバキ科の葉にたくさん含まれているそうです。
同じ科になる 飲用のお茶の木にも当然含まれています。

ところで、ぱっと見たとき 区別がつきにくい植物の代表が「椿」と「さざんか山茶花」。
見分け方ですが、散る時に首をはねられたように花ごと落ちるのが 椿。
オシベの根元が隣同士くっついています。 花びらが桜のようにバラバラになって散るのが 山茶花です。

お茶の葉には フッ素が含まれていて、歯のエナメル質を強化し、虫歯予防になると言われています。
緑茶一杯で約0.1mgのフッ素が摂取できます。(1日当り0.5〜1mgが成人摂取量)

ところで 近年、薬に頼らず、食品を摂取しながら副作用なしで
病気の予防をしようという『機能性食品』が見直されています。
その一つが お茶です。 さまざまな研究と臨床実験が進んでいます。
お茶に含まれるカフェインやカテキン類は 抗酸化作用が
人に働き、癌や疾病から人を守り、さまざまな抑制物質を生成するという実験データが幾つも発表されています。
アルコールに対する 検証もなされています。

古くは 鎌倉幕府将軍の源実朝が、二日酔いで苦しんでいると 
臨済宗の開祖、栄西がお茶を献上し 二日酔いが直ったということで、褒章に預かったそうです。

アルコール濃度の高いお酒をウーロン茶や緑茶で割って
飲むことの研究はまだ少なく科学的根拠は十分でないそうです。
しかしながらラットによる エタノール投与した液体で実験した結果、
0.5%と1%緑茶を添加したものと添加しない場合とを比較した結果、
トリグリセリド濃度が明らかに抑制されています。
緑茶の中でも 茶カテキンは血漿トリグリセリド濃度の上昇抑制に、
カフェインは肝臓トリグリセリド濃度上昇抑制に効果のあった
実験結果が発表されています。(アルコールを摂取するとトリグリセリド濃度は 摂取しない人に比べ上昇する)
肥満抑制効果にも優れ、癌や疾病にもなりにくく、
肝臓にも良いとなると 緑茶は やっぱり 飲まなくては・・となりますね。

◆ 参考資料
学会出版 「茶の機能」静岡大学農学部 杉山公男氏論文。「フッ素の化学」國分信英  



ミトクゴムの面白館 04年秋号


マイカ(mica;雲母)について
ゴムの中には さまざなフィラー(強度や各種性質を改良するためにプラスチックやゴムなどの
高分子に添加される比較的不活性な物質)が充填されています。その一つに マイカがあります。
マイカは天然に産する板状またはフレーク状の鉱物で、これを粉砕、分級してフィラー
として利用しています。
特に曲げ強度や剛性面で補強効果や耐熱性改善に優れています。
フィラー用には 白雲母(マスコバイト)と絹雲母(フロゴバイト)が利用され、
白雲母は主にインドから輸入され、絹雲母はスゾライトとしてカナダや米国から輸入されています。
マイカは高い電気絶縁性を有するので電気製品に古くから利用されてきました。
また、すぐれた制振機能もあります。遮光用、顔料用(パールマイカ)など光学的用途もあります。

■愛知県の絹雲母=知らぜらる世界一「あわしろ粟代鉱山」
女性にとって大事なものは、ファンデーション(おしろい)です。
愛知県北設楽郡東栄町振草字稲目平にある粟代鉱山(三信鉱工梶A社長三崎敦司)は、
良質のセリサイト(絹雲母)を産出する日本で数少ない坑道掘りの鉱山です。
この絹雲母は、世界で最も小さな粒子として全世界の化粧品会社に「三信マイカ」の商標で供給されています。
ほぼ100%といわれる純粋な絹雲母(2M1型)の生産は世界でも
ここしかなく、月産70トン生産されています。ハリウッドの女優さんも 
アラブの王妃ももしかしたら、愛知県のマイカの御蔭で 美しさに磨きをかけているのかもしれませんね?

※参考資料:工業調査会発行、「初歩から学ぶフィラー活用技術」
         中部産業遺産研究会報告 「絹雲母の粟代鉱山」天野武弘著